SMの不思議-2
6、仕事開始
女性経営者さんがこの男性をお客様に紹介します。
「皆様、本日は新人のホストをご紹介致します。名前はクーちゃん、人生の苦難に耐えてきた立派な男性ですが、その苦難のクを取ってクーちゃんと名付けました。皆様、どうかクーちゃんを可愛がってあげて下さいまし」
その後、女性客から呼ばれることはなかったのです。
先輩のホストたちの命令の数々。「おい、クー、そちらの女性におしぼりを持ってけ!」「おい、そこの床を拭け!」
毎晩そんなことが続いたある日、彼は他のホストとは服装を変えさせられ、囚人服を思わせる姿にさせられたのです。
そしてぇー、そして、クーちゃんは首輪と鎖につながれて、、、お客のサービスをさせられたのです。鎖につながれてですよ、床を拭いたりテーブルを拭いたり。
私はゾッとしました。
7、お客様の変化
当初クーちゃんには見向きもしなかったお客様たちは、急に関心を持ち始めました。
「おい、頑張れ頑張れ。これはチップだ」と男性客。
「ねえ、あなた、この可哀想なクーちゃんにチップあげて」と連れを促す女性客。
「ねえ、私の肩揉んで」とチップを渡す女性。
元々ホストたちが始めたクーちゃんへのいじめでしたが、それが急激にお客様たちにも浸透していきました。
中には、クーちゃんの頬をビンタ。皆さん大笑い。
8、女性経営者さんが説明
ここで女性経営者さんが再び登場。壇上に立って説明しました。
「皆様、お陰様でクーちゃんのファンが増えてますね。彼に代わって私から深くお礼申し上げます。場を盛り上げて下さったホストさんたち、ご苦労さん」
「私たちはこの可愛いクーちゃんを面白半分に遊び道具にしているのではありません。皆様にはこういったご経験を通して、人間を大切にする心を育てていただきたいと思って、この様ないわばショーをお見せしております」
「どうか皆様、ここでは日常の常識を捨てて、クーちゃんを思いきり侮辱して下さい。屈辱を与えて下さい。いじめて下さい。そして、思い切り加害者になって、人間の尊厳を考えるきっかけにして下さい」
ホストたちから大きな拍手、さらにはお客様からも拍手が巻き起こりました。
「そうだ、そうだ、クーを応援してるぞ」
「クーちゃん大好きよ、私ファンになるぅ!」
「クー、女にモテモテじゃないか」
9、凄まじいホストのいじめ
ホストなど男性からのいじめはこんなものじゃなかったです。
「おい、誰がクーを気絶させるか。賭けるか?」
「それじゃ、賭けにならねえよ」
「そうだ、麻雀で勝った奴がクーにボディパンチできるってのはどうだ?」
話したらきりがないので、このへんにしときますね。思い出したくもない!
10、クーちゃん、一人では泣く
ある日、クーちゃんがトイレの中でシクシク。泣いていたのです。
普通だったら、トイレの邪魔なんかしちゃいけないんだけど、とてもほっとけない。
戸をノックしました。
クーちゃんは出てきました。普段いじめられても、何とも言えないひきつった笑顔でしたが、やっぱりね。
「私はもう辞めたい。でもどうやって生活すればいいか分からない」
「そう、無理ないわ。でももうちょっと我慢してたら?ねえ、まずはお客さんからのチップを貯めましょう。私もできるだけのことしてみるわ」
11、私から女性経営者へ提案
「ねえ、社長さん、私とクーちゃんと組んでショーをやりたいのですが、、、」と私から提案。すぐに了解してくれました。
「でもね、普通にあなたとクーちゃんが踊ってもねぇ。SMショーなんてどう?もちろん、あなたがSでクーちゃんがM。ウケると思うけど」
「はい、喜んで。ただ、お願いがあります。クーちゃんを私専属のMにしてほしんです。それでないと私も気分が乗らないし。こういうことって、完全にSになりきらないと、、、」
「はい、ホストたちには手を引いてもらうわ。あなたの方がお客様の受けがいいでしょうし」