背徳の口づけ-2
「先生?どうしたんです?」
「‥‥わ、わからないんだ。ただ、また状況に流されると思ったら、自分のことなのに急に怖くなってしまったんだ‥‥」
女体育教師は切ない自身の心境を吐露した。その反応に総一は胸中で興奮を湧き上がらせる。
「先生‥‥!」
総一はそっと肩を寄せようとする。京子はそれを一旦は受け入れようとしたが、突如ハッとして手を振り払うと一歩後ろに下がる。
「北森、お前はおかしい!男としてどうかしているぞ!」
後ろに下がった京子は総一を指差してそう言った。
「え?どうしてそう思うんです?」
「だ、だって!私みたいな女とセックスやキスしたいと思うなんて!お前はどうかしている!」
仲良くなりたい先生にどうかしていると言われて総一は自分自身動揺すると思ったが、さして動揺などしていなかった。気づけば、逆に京子を安心させようと言葉を尽くす。
「先生はこの学校の女性陣と比較しても一番魅力的な女性ですよ。顔は美人でスタイルよし。特におっぱいがいい。もう少し誇っていいと思うんですけどね」
「‥‥だ、だって‥‥!永介はそんなこと言ってくれないし‥‥!」
しっかりと褒めても自信なさげな態度で話す京子。それで、総一はすぐに察する。彼女の自信なさは、自分を女として見られていないことだということに。その元凶は本人ではなく、許婚の相手の方だということを。
「ははーん、許婚の男が言葉も尽くさずろくに抱いてくれないもんだから、女として自信がなくなって身体の方も疼いて仕方ないんですね」
総一が永介のことを毒舌も交えながら独自で解釈すると、京子はカッと顔を真っ赤にして反論する。
「え、永介のことを悪く言うな!あいつはインターハイの練習で忙しいんだ!勉強だって取り組まないといけないし!」
「いや、そりゃインターハイに向けての練習や勉強も大事だってのはわかってますけど‥‥」
総一は自身の恋愛においての価値観から、京子を放っておいている永介に対して引っかかりを覚えてしかたなかった。
なぜこうも魅力的な女性を放っておけるのだろうか。学校に隠すため、というのは理由としてはある程度納得できるが、それなら家に呼んで堂々とエッチでもしてやればいい。生徒と教師という関係だけなら確かに問題だろうが、そもそも許婚の関係ならできるはずだ。
「天上寺ってもしかしてアホなんじゃないですか?こんな魅力的な今橋先生を放置するなんて。実はちんこ勃たなかったり?」
「そ、そんな訳ないだろ!確かにお前の立派なサイズのものとと比べると小さいが、ちゃんと勃起していたし‥‥!」
京子は感情のまま反論。その後、自分の発言を思い出して「あ‥‥!」と、顔を赤らめる。一方の総一は内心自分のことを褒められた嬉しさを感じながら指摘する。
「じゃあ、別に誰か好きな人居るんじゃないですか?天上寺ってモテますからね」
「うっ‥‥!」
それは根も葉も根拠もまったくないただの想像だった。だが、京子の方は総一の言葉に動揺を隠せず、赤らめた顔を一転して青ざめる。
「そ、そんなことありえない‥‥!でも‥‥い、いや‥‥そんなはずは‥‥!」
普段の姿からは珍しいくらい動揺する京子。
総一からすれば京子と永介の関係が上手くいくかなんて正直どうでもいいことだ。だが、総一的には京子を責めるのが目的ではないし、許婚相手のことを思っている京子を見ているのはあまり心地よいものではない。話をさっさと本題に戻すことにした。
「‥‥ま、天上寺のことはどうでもいいですよ。それより今のことです」
「今の、こと?」
京子は反応すると、総一は頷く。
「はい。今日も昨日みたいにまたセックスしませんか?」
「だ、だからそれは‥‥別にいいって言ってるだろ‥‥!私だってここに来る以上それぐらいは覚悟して‥‥!」
「いや、そうじゃなくて先生の口からセックスしたいって聞きたいなって」
「‥‥わ、私にセックスしたいと言わせる気か!?」
京子は険しい表情のまま顔を赤らめて尋ねる。
「俺は同意を求めてるだけですよ。だって、無理やりされたって言われたら先生と生徒の立場でも先生の方が有利ですから」
「‥‥っ、だったら好きにすればいい。だが、くれぐれもこのことは許婚のことは学校のみんなには‥‥!」
「はいはい。黙っておきますよ。だからセックスしたいって言いましょうよ」
総一は、わかっているとばかりに何度も頷く。そんな様子に京子は睨みつけるも唇を震わせ、
「わ、私と‥‥セ、セッ‥‥セックスしてくれ!‥‥これでいいだろ?」
途切れ途切れだったが、最後は体育教師らしく声を張り上げる京子。総一は満足そうに頷く。