女教師、濡れた臀部-1
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色々考えた挙句、清香には翔と会うことを伝えていなかった。
その旨を翔にも話しており、翔は清香の自宅周辺まで車で送ってくれた。
周りに生徒がいないかどうかを確認して、車から降りる。
時刻は十八時頃だった。
バスルームを貸してもらったが、夕方になったとはいえ、八月末の気温は高く、すぐ汗だくになった。
「ーーすみません。早退してくれようとしたけど、仕事忙しかったですか?」
清香には「予定時刻より遅くなるから迎えに来なくていい」とだけ連絡したから、学校を出るのが遅くなるのだと解釈したのかもしれない。
カウチに座る由美香に冷たいお茶を出しながら尋ねる清香に、翔と寝たことで罪悪感を覚えつつも、由美香は「ちょっと用事が」とだけ言った。
「あたしと会うの、無理してます……?」
眠る時以外には距離を取る清香だが、珍しく清香は由美香の左隣に腰掛ける。
清香は心配そうな顔をして、由美香のブラウスの腕の部分を引っ張った。
「どうして。そんなわけないでしょ?」
「面倒くさい女になりたくないから。こんなこと言ってる時点で十分、面倒くさいかもしれないけど……」
先日、清香と出くわして由美香が思わず泣いた時も、今だって、清香は特別詮索してくることはない。
そんな大人な清香だからこそ、自分の立場を気にかけるのだろう。
「清香ちゃんの気持ちわかってて、家に来るあたしの方がダメな女でしょ」
由美香は苦笑いして、はっきりと言った。
「そ、そんなこと言わないで下さい。先生に会いたいんだもん」
「じゃあ同じ。清香ちゃんに会いたくて来てるんだから」
由美香がそう言うと、ブラウスを引っ張っていた手をずらして、清香は左手で由美香の背中を引き寄せたかと思うと、首元に鼻先を押し付ける。
清香は匂いに敏感だから、翔の自宅でシャワーを借りたあと、自身の香水を振りかけた。
おそらく、疑われることはないだろう。
男性に抱かれたあとで、また他人と性的に体を近づける自分の浅ましさに、由美香は吐き気をもよおしてしまいそうだった。
後輩に好かれることに、どこか優越感を抱く「ダメな女」なのだと自覚しているからだ。
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取り留めのない会話をしながら、酒を飲んで夕食をとり、二人はそのままベッドで寝てしまった。
清香に対して気が緩んでいるのか、翔との情事のせいなのか。
珍しくかなり酔っ払った由美香は、シャツとワイドパンツを脱いだものの、部屋着には着替えず、下着姿のままベッドに潜り込んだ。
何時かはわからないが、胸元で柔らかな感触がもぞもぞと動く様子に、由美香はゆっくりと目を開ける。
明かりは常夜灯のみで、暗いが、清香に抱き寄せられて眠っていることがわかった。
そのまま眠ったが、やはり相当酔っていたらしい。
体や、口から酒の匂いがして、やや頭痛がある。
清香を起こさないように体からそっと離れると、水を貰おうとキッチンまで移動し、蛇口から直接、グラスに水を注ぐ。