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杏奈と健 〜 献身 〜
【姉弟相姦 官能小説】

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杏奈と健 〜 献身 〜 -6

表面上は家族に合わせていた。
しかし健はどこかで冷めていた。
それは家族ごっこの延長にしか感じられなかったのだ。

杏奈は自身の仕事にも、健に対する想いにも実直だった。

女性として考えても、これ以上の女なんてどこにもいない。

そんなことはわかり過ぎるほどわかっていたが、気持ちの奥のほうに、そう思う自分を冷めた目で見ているもう一人の自分がいる事に苦しんでいた。

そのもう一人の自分が他の女との快楽を求めてしまうのだ。

明日香とは一番長く、かれこれ一年になろうとしていた。

もう何度交わったのか、回数すら覚えきれない。

しかしその明日香が子供が欲しいとチラつかせてきた。

それは健を大いに動揺させていた。
これ以上は危険だと感じていたのだ。
今の家庭を壊したくない。
それだけはダメだ。

健は今まで交わってきた女性とは一度きりと割り切ってきたつもりだった。

それでも社会に出てからは飲み屋でナンパする事もあって、連絡先を交換すると一度だけでは済まず、二度三度交わり、実は自分は結婚していて、子供もいると告げれば、大抵は女のほうから退いて行った。

昔、杏奈と初めて繋がりを持った時に杏奈が教えてくれたが、女性が誰でもAV女優のようにイキまくるのは嘘なんだ、というのも実感していた。

杏奈や明日香のように一度のセックスで何度もイクのは稀な事だった。

普通の女なら、下手をすると一度のセックスで一度もイケないと言う女も多数存在した。

そういう告白をする女には燃えるものがあった。

それをイケるように開発するのも健にとっては楽しみでもあったのだ。

オナニーでもセックスでも一度もイッた事がないと言われると、行為そのものが丁寧になり、奉仕できた。

必ず自分がイク前に女をイカせていた。

イケない女を最後に一度でもイカせた。

それが誇りでもあった。

健の性への意識は大学時代より完全に浮き世離れしていた。

お互いが求め合えば、そこに愛さえあれば、相手は誰でも良かった。

だってその女性を傷つけてる訳じゃない。

お互いが納得し合って快楽を求めているんだ。

そこに罪はない、そう思っていた。

健の経験人数はすでに50人を超えていた。

体型や顔つきでどのようなセックスをするのかさえ感じ取れるほどになっていた。

「そろそろ明日香とも終わりかな? 子供欲しいとか言われるとヤバいよな。」

「でも、明日香ってホントいい身体してんだよな。僕が一年も飽きないんだから、相当なモンだよな。アイツの感じ方、ホント燃えるんだよ。惜しいよな。捨てちゃうの。」

「もう一度でいいから一日中ヤッてたいな。」

電車を降り、家へと帰る道すがら、降っては湧いてくる欲望を小さく口にしていた。

そんな邪な事ばかり考えていると、いつの間にか家の前へ立っていた。

時間は夜21時半になろうとしていた。

明日はシフトの関係で平日だが休みだった。
家へ入れば、いつものように杏奈が子供を抱いて、母親と一緒に出迎えるだろう。

それがとても健の気分を憂鬱にさせていた。

休みの日くらいゆっくり惰眠を貪りたい。

そんな事さえ頭を過ぎる。

しかしいつまでも玄関先に立っている訳にもいかない。

健は意を決してドアを開いた。

「ただいま。」

玄関先でいつものように呟いた。

しかし誰も返事がない。

「?」と思ったが、取り敢えず靴を脱ぎ、それを下駄箱へ収めると、リビングダイニングへと向かった。

明かりはついていたが、誰もいない。
もしかしてとリビングの窓から外を見渡すと、父親の車はあるが、杏奈と母親が共用している車が見当たらなかった。

買い物か?と健は一瞬、思ったが、突然健のスマホが鳴った。

杏奈からだった。

「健?いまどこ?」

少し慌てたように杏奈が聞いて来た。

「ん?今、家だけどどうしたの?誰も家にいないんだけど。鍵開いてたし。」

そうありのままに健は答えた。

「健。今、県病院にみんないるの。咲良、急に熱出しちゃって。40度近い熱があって、お母さんとお父さんに付いて来てもらって、今、診察終わったとこなの。」

子供が急な熱を出すことはそんなに珍しい事でもないだろ。
健はそう思った。

「そうなんだ。咲良は?大丈夫?」

健は杏奈にそう聞き返した。

「うん。原因ははっきりしないけど、一過性のものだろうって。座薬入れて貰ったから、これで暫く様子見て下さいだって。」

杏奈は心配そうな声をあげ、その様子を伝えてきた。

「そっか。一過性のものなら仕方ないよね。じゃあ、もう帰って来る?」

そう健が答えると、杏奈の声のトーンがあからさまに下がった気がした。

「うん。精算終わったら帰るね。ゴメンね。お出迎え出来なくて···」

健は精一杯の労いをこめたつもりで
「いいよ。気にしなくて。咲良のほうが大事でしょ?」

そう言って健はスマホを切った。

切る直前に杏奈は何か言いかけた気がしたが、そうか、じゃあ仕方ないな、と冷蔵庫から缶ビールを取り出し、ネクタイを緩めてそれを飲み始めた。

ふと気になり、「風呂くらい張ってあるよな。」

そう呟き、飲みかけのビールをテーブルに置くと、風呂場へと歩き、湯船を確認すると湯は張られたままで自動保温になっていた。


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