投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

杏奈と健 〜 献身 〜
【姉弟相姦 官能小説】

杏奈と健 〜 献身 〜の最初へ 杏奈と健 〜 献身 〜 27 杏奈と健 〜 献身 〜 29 杏奈と健 〜 献身 〜の最後へ

杏奈と健 〜 献身 〜 -28

それでも杏奈が気になり、何度目かにICUを覗きに行った時だった。
杏奈に付き添っていた母親が出て来た。

母親が咲良を抱き上げると、あれほど泣き叫んでいた咲良が泣き止んだ。

「健。さっきは感情的になってしまってごめんなさい。
叩いたりして悪かったわ。
でもね···
アナタは二人の女性を深く傷つけた。

杏奈も···
相手の女性も···
それだけは忘れないで。
アナタはその二人に誠心誠意尽くさなきゃいけない。
それだけの事をしたんだよ。
それを前向きにちゃんと考えて。

杏奈はこんなこと仕出かしたアナタを信じてあげて欲しいって言ってた。
杏奈も信じるからって。
それがどれだけ重い言葉なのか、よく考えてちょうだい。」

母親は健を見据えるようにした後、咲良に向かって微笑んだ。

「さあ、咲良。ばぁばと帰ろっか!」

「えっ?!」
母親の言葉に俯いていた健は驚いた。

「アナタが相手じゃ咲良、泣き止まないじゃない。
病院に迷惑だから、咲良連れて帰るわよ。
お父さんも一人じゃご飯も食べられないし。
アナタ、責任持って杏奈見ててね。」

そう笑みを浮かべて健の肩へ手を添えた。

「母さん···ごめん。本当にごめん。」

健がそう呟くと母親は

「じゃあね。また朝には来るから。」

そう言い残して母親は病院を後にした。

健は深く頭を下げて母親を見送った。


健は杏奈の手を握り、ずっと杏奈の顔を見ていた。

「だって、健はアタシが守るって言ったでしょ?···」

そう言って血を滲ませながら自分の頬へと手を伸ばして来た時の杏奈の姿を思い浮かべていた。

杏奈には僕しか見えてない。
それはずっと変わらなかった。
僕を守るために刃の盾になった。

僕はどうだ?
何してた?
自分勝手に女を漁り、快楽のみに浮かれてた。
杏奈を傷つけ、明日香の気持ちまで引き裂いた。
なんて自分勝手なんだろう。
なんて最低な奴なんだろう。

母親が言った言葉を思い出していた。

「杏奈はこんなこと仕出かしたアナタを信じてあげて欲しいって言ってた。
杏奈も信じるからって。」

一生を懸けて償わなければならない。
僕の人生全て杏奈に尽くすんだ。

健はそう思っていた。

何時間かおきに点滴を入れ替えに看護士が訪れていた。

「もう麻酔も覚めますし、そろそろ目を覚ますと思いますよ。」

看護士はそう言ってくれたが、杏奈が目を覚ますことはなかった。
そこには不安しかなかった。

ふと窓を見ると、朝を迎えていた。
朝日が眩しいと思ってカーテンを閉めに席を立った。

カーテンを閉め、再び杏奈の手を握った時だった。
握った杏奈の手が健の手を握り返して来た。

「杏奈?!」

健は杏奈を呼んだ。
杏奈の目がうっすらと開いた。

「た··ける···」

酸素マスクのせいで篭った声だったが、はっきりと健の名を呼んだ。

健はすぐにベッドに設置されている呼び出しボタンを押し、「杏奈が目を覚ましました!お願いします!」と叫んでいた。

すぐに看護士が来て、慌ただしく血圧や体温を計ると、「先生呼んで来ますね!」と言って走って行った。

健は杏奈の手をずっと握っていた。
時々杏奈はグッと握り返して来る。
ただそれが嬉しくて涙が流れて来た。

担当医が入って来て、傷口や薬の量を確認すると

「もう大丈夫ですね。明日にでも一般病棟に移りましょうか。」

そう言って出て行った。

「良かった。ホントに良かった···」

杏奈の手を握りしめ、健はまた涙を流していた。

ふいに健の頬に温かい手が沿わされた。

そしてその手の親指が健の涙を拭っていた。

「ホント、健って泣き虫なんだから···」

杏奈はそう言うと健に笑みを見せた。

健は嗚咽を上げて泣き崩れた。

「杏奈っ!ごめんっ!ごめんよぉっ!」

ベッドへ額を着けて泣き崩れる健の頭を杏奈はずっと撫でていた。

そこへ咲良を抱いた母親と、父親が訪れていた。

二人は瞼に涙を溜め、笑みを浮かべながら、ただ黙ってその姿を見ていた。




3週間後。

杏奈は退院し、家へと戻ってきた。
健は仕事で家にはいなかったが、母親の迎えで杏奈は咲良と共に家へ帰って来ていた。

「あ〜っ!ヤッパ、家がいーわぁ〜っ!」

リビングのソファーに腰を降ろし、両手両足を拡げ、杏奈は声をあげた。

「オッサンか!」

母親は思わず笑っていた。

「病院に3週間もいりゃ誰だってオッサン化するわよ。」

杏奈も笑って返す。
咲良は杏奈の隣でキャッキャッと声を上げてご機嫌だった。

「杏奈。ホントに明日から学校復帰するの?」

心配そうに母親が聞いてくる。

「学期末近いしね。担任担当あるから、あんまゆっくり休んでらんないのよ。」

すがりつく咲良をあやしながら、杏奈は返した。

「そう。無理しないでね。杏奈に倒れられるとお母さん、どうすればいいのかわかんなくなるから。」

不安そうな顔をして母親は杏奈に懇願した。

「大袈裟だよ。お母さん。もう傷口も完全に塞がったし、大丈夫。体力戻るまでは無理しないから。」

杏奈は乳幼児用のおせんべいの袋を開けながらそう応えた。


杏奈と健 〜 献身 〜の最初へ 杏奈と健 〜 献身 〜 27 杏奈と健 〜 献身 〜 29 杏奈と健 〜 献身 〜の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前