杏奈と健 〜 献身 〜 -18
そして健は身体を起こし、明日香を自分の腰へと背後から座らせ、後背座位で明日香を突き上げていた。
それも激しく速く。
明日香はすぐに絶頂を迎え、泣き声とも呻き声ともつかない声を上げ果ててゆく。
健はそこで仰向けになり、明日香に身体を回転させるように促す。
正面からの座位となった明日香は、自分から跳ねるようにして快感を貪っていた。
ここでも健は下から明日香の動きに合わせるように強く突き上げ、明日香はものの30秒も経たない内に大きな声を張り上げ、顎を天に突き上げて絶頂を迎えていた。
健はすぐさま勃起を引き抜き、明日香をベッドに対して横向きに四つん這いにさせた。
健はベッドサイドに立った状態から明日香の尻に勃起を打ちつけ、激しく腰を振る。
その激しさにあっという間に明日香は果ててしまう。
突き上げられた明日香の尻を健は抱えるようにして余韻覚めやらぬ明日香を健は無我夢中で突き続けた。
明日香は手足をバタつかせ、これも短い時間で果ててしまう。
健は勃起を引き抜くと、腕を股の間に挟むようにして頬をベッドへ着けていた明日香の足をクルリと回すように正常位へと導き、挿入し直すと、思うままに突き始めた。
健自身もずっと突き続けていたため、そろそろ限界だった。
尻の奥にジンジンとした快感が集まり始め、健の勃起は大きく膨らんだ。
明日香も大きく背中を反らせていた。
健は赴くままに明日香の一番奥深くへ勃起を突き立て、射精した。
その射精の感覚を受け取って、明日香も果ててゆく。
明日香と健はそうして何度も何度も交わった。
健も明日香も両手を拡げ、ハァハァと息をつき、大の字になってベッドによこたわっていた。
いったい幾度交わったのだろう?
何度イッたのだろう?
そんな事さえ何もわからなくなるほど明日香も健もお互いを求め合った。
健は股間がジンジンと痛みを伴っている事を実感していた。
それは明日香も同じだった。
過去、これほど濃厚に身体だけを求め合ったことがあっただろうか?
健も明日香も記憶になかった。
健は明日香を愛おしく思い、明日香も健を愛おしく感じていた。
ここにある二人の想いは完全に重なっていた。
もう離れられないとさえ思えた。
外を見ると、夜の闇に街の灯りが煌々と散らばるように輝き、それは一枚の絵画のように思わせた。
時計を見ると、午後20時50分を指していた。
約7時間、健と明日香はずっと愛し合っていた。
健は名残り惜しそうに呟いた。
「帰らなきゃ。」
明日香も名残り惜しそうに
「ウン。」とだけ答えた。
そして明日香は健の肩へと頬を寄せ、健の胸へと唇を寄せた。
健はその明日香の顔を引き寄せ、唇を重ね合わせた。
健はすぐに服を着ることができたが、激しい交わりに明日香の化粧はほとんど取れていたので、部屋を出るまでに20分ほどかかってしまう。
健は明日香の化粧を直している姿さえ美しいと感じ、それをずっと見守っていた。
「健君。恥ずかしいから見ないで。」
そう言われても健は目を逸らす事が出来ないでいた。
明日香は照れ笑いを浮かべながら、ドレッサーに映り込む健を横目に落ちた化粧を直していた。
精算を済ませ、エレベーターで階下へ降りると、いつもと違って、健は明日香の手を繋ぎ、それを恋人繋ぎに指を絡ませたまま駅へと歩いた。
明日香もウットリとした表情で健の腕に頬を寄せながら歩いた。
お互い電車の路線が違うため名残り惜しかったが、駅の構内の分岐点で二人は唇を合わせ、健は明日香に大きく手を振って見送った。
明日香もピョンピョンと跳ねるようにしてそれに応えていた。
そして健は明日香とは逆方向へと歩き、何度も交わった余韻に浸りながら電車に揺られていた。
思い浮かぶのはさっきまで時間を共にした明日香の乱れた姿だけだった。
甘くトロけてしまった明日香の顔を思い浮かべていた。