掘り起こされた扉-1
二人が帰った後、30分程は警戒モードで、自身がしでかした事の罪悪感と手に入れた生活が崩壊する事の恐怖心で後悔していたし、かなり自己嫌悪になっていた。履き忘れていたショーツを放り込んだ引き出しから履きなおしソファに倒れこむと少し落ち着きを取り戻した。専業主婦になって以来、いつもこの時間から夕方までは妖しい雰囲気に包まれる秘密の時間である。特にレス気味になってからは夫の前では淡白を装ってる反動が毎日のように押し寄せる。子供の時から大人の小説ばかりを読んでいた私の想像力は豊かで、いつもならソファに座ってネットでの体験談やネットの官能小説を読むのだが、やはり今日は午前の出来事の余韻が心身を熱くしている。心の葛藤と自己嫌悪に邪魔されながらも登坂の意地悪な物言いや指使いが蘇り始めるともう足や腰の辺りはモゾモゾ動きはじめる。さっきの事を追体験するようにショーツの上から敏感な所をゆっくり撫でて気分を高めていく。既にかなり汚れているショーツに重なるように染みが浮かぶ。さっきお預けになったせいでより全身が火照り、もう体が快楽を欲している。遮光して薄暗くなっている寝室に移動し、スカートやカットソーを脱ぎ、ブラも外してベッドに入る。いつもなら小説の後は近いシュチュエーションの動画をスマホで探して興奮を高めるが今日は記憶と妄想だけで十分だ。一線を越えずに耐えたのだから妄想なら許されるはずと自分への言い訳でさっきまで抱えていた自己嫌悪を打ち消していく。記憶の中の登坂の指使いと自身での愛撫がシンクロして、抑えながらも喘ぎ声を出す。いつもよりじっくり時間をかけて自分を慰めていくつもりだ。夫の知らない、いや登坂以外誰も知らない淫らな自分が時折姿見に映り、より官能と火照りが増していく。そして‥いよいよ封印していた、3年前の出来事を思い出の引き出しから妄想のメインに引っ張り出した。あまりに強烈な思い出は自身の破滅を招くと本能が強く訴えて封印していたのに、登坂の出現で鍵は脆くも壊された。3年前のあの日に意識が飛んでいく‥