愛する弟の為の原点-8
「秋山くん、肩の力抜いて…」
日菜は正面から秋山の両肩にソッと手を添える。
「はい…」
息を吐き力を抜く。するとゆっくりと日菜の顔が近づいてくる気配に気付く。
(き、キス…!?)
当然キスした事などない秋山は激しく動揺する。日菜は目を閉じる。唇が閉じられた。日菜の鼻息がフッと顔にかかった瞬間、気絶しそうなぐらいに頭がクラッとした。もう日菜の唇はすぐそこに。唇に日菜の体温を感じる。そして次の瞬間、この世のものとは思えないぐらいに柔らかな感触が唇から感じた。
(!?)
一瞬思考回路が停電した。そして再び電気が流れると、とうとう自分がファーストキスの瞬間を迎えた事に気付いた。
(き、キスした…!キスしてる俺…!!初めてのキスが日菜さんとだなんて…、幸せ過ぎる…)
体は固まって動かないが、心はこれ以上ないぐらいに弾んだ。
(日菜さんの唇が…。信じらんない…。夢でもいい…)
一生忘れないよう、この瞬間を脳裏に焼き付けていた。
(あっ…)
ふと気付くと日菜にシャツのボタンを上から一つずつ外されていた。秋山はどうしていいか分からずに日菜に全てを委ねた。シャツのボタンが外された次はベルトを外されていた。そしてズボンの腹のフックを外されると、日菜が肌着に手をかけ、唇を離して体からゆっくりと引き抜いた。肌着をそっとベッドの上に置くと今度はズボンのチャックを下げ、ズボンに手をかけると、無意識に腰を浮かせる秋山。あっと言う間にパンツだけの姿になっていた。
(…)
秋山から香る少年の汗臭い匂いに日菜は性を刺激される。決していい匂いではないが、それは部活帰りの健斗からも感じる匂いで、日菜はその匂いを嗅ぐと興奮を覚えるようになっていた。本当は日菜もドキドキしている。だが性を刺激する匂いに少女ながらも女が目覚める。日菜はゆっくりと秋山をベッドに押し倒す。
「ああ…」
初めて感じる柔らかな女体の感触に気が遠くなりそうだった。特にバスタオル越に密着する胸の感触に緊張していたはずのペニスがいきなり反応する。秋山に体を重ねて再びキスをした日菜の下が、少年の口の中に艶かしく侵入する。
(日菜さんの舌が…!)
戸惑う秋山の舌の緊張を解すかのように、日菜の舌が官能的に絡みついていた。