第32話 Love Injection-1
「んぁあっ、ハァ……ハァ……ハァ……ちょっと……横になってもいい?」
きつい体勢でいた疲れもあり、綾乃はダイニングのカーペットに横たわった。正確には、一樹に仰向けにさせられたのだった。Tバックショーツのクロッチがぐしょぐしょなのは綾乃の愛液のせいばかりではなく、亮介の唾液も含まれている。
(亮介と間接キスってことか……)
複数プレイで避けては通れない壁となるのが、男性同士の間接キスだ。一樹は、この流れならば当然そうなると予想はしていたが、いざ現実となるとなかなか抵抗感があるものだ。せっかくの下着が惜しかったが、一樹はスルスルと脱がしてしまう。それでも、未練がましく鼠蹊部あたりで寄り道していると、突然綾乃の両手が一樹の頭を押さえつけ、強制クンニをさせる。
一樹は完全に吹っ切れて、綾乃の花弁を無我夢中で舐めずり回したのだった。
綾乃の口にかかれば数秒も経たずに亮介のペニスは怒張する。しかし、亮介はスッと腰を引き、綾乃との熱いキスを優先した。
「綾乃さん……すごく綺麗だよ……今日の下着ほんと似合ってた……この世のものと思えないぐらい……」
「嬉しい……勇気出して……買ってよかった。ぁあん、気持ちぃいん……」
声質に芯が出てきたのは綾乃に一樹が入ってきたからだった。
「ぁああん、いい……一樹入れたくなっちゃったの……? ぁあん」
「うん、綾乃……綾乃……愛してる……」
亮介とのキスはまだ続いている。
「これからはね……同じ屋根の下でみんなで暮らすのよ……」
綾乃が亮介の耳を掌で触りながら優しく言葉をかけた。
「……そうなんだね……うん……一緒に」
「そう。だから、いつでも……ね……仲良し……あぁん、できちゃうね……」
綾乃のトロンとした目の焦点が合わなくなってくる。
「ぁああ、一樹ちゃん……いい……いい……いいぃ……」
「綾乃……綾乃……全部出す……よ……」
「全部……全部ちょうだい! あなたのを、あたしにッ、あぁ、頂戴……」
「ぁあああああ、綾乃……イクっイクっイクっ……イ……クっ、うう」
脱力しつつも膝立ちで綾乃の口元にペニスを持っていく一樹。
四つん這いでお掃除フェラを始める綾乃。
泡立つ白い精液が女陰の裂け目を伝って落ちる。
腰を突き出しながら振り返り、綾乃が言う。
「ゴムなんか……しなくていいのよ」
「え……?」
「亮介も、私の中に全部出すの……」
亮介は一瞬、綾乃が別人のように見えた。
一番最初の寝取られの日のこと。亮介は断りもなく綾乃の中に射精したバスルーム。その時とは綾乃も変わったし、三人の関係性も全く異なってしまっている。
確かめるような気持ちで一樹の顔を見る。一緒に引っ越すと言ったさっきと同じく穏やかな表情。そして、大きくうなずいた。
「綾乃さん……俺……」
「いいわ……来て、亮介ちゃん……あたしに……いっぱい……出して頂戴」
ガーターベルトが映える腰回り。脚の形の美しさをより際立たせるストッキングと相まって大人の女性の淫靡さをあふれさせている。
「綾乃さんが欲しい――」
亮介は乱暴に後ろから突き刺し、カリの段差を最大限に使って綾乃の膣内の子種をかき出していく。それはもちろん一樹の残していったものに他ならない。
(絶対に俺の子種を植え付けてやる――)
そんな強い意志でゆっくりと、そして確実に二掻き・三掻き・四掻き……と続ける。一樹の激しいピストン運動との対比に、綾乃は焦らされているような心理に陥っていく。
「うぅ……いやら……しい……亮介ちゃんの形が……わかる……」
「綾乃さん……俺……ずっと……ずっと……こうしてたかった……夢だった……」
「あたしも……よ……あたしも……ずっとあなたに……犯されて……みたかった……」
目の前で、妻が愛のやり取りを繰り広げている――他の男と。
一樹は、綾乃に綺麗にしてもらったばかりの箇所にどっと血が流れ込んでくるのを実感する。目の前の一樹の様子を見て驚く綾乃。強引に綾乃の口に突っ込む一樹。
綾乃はまさしく串刺しになってしまう。
「ん、ングっ」
亮介は呪縛が解けたかのように激しく腰を振り始める。綾乃は目を見開いて涙目になる。
(――! ――! ――! ――! ――! ――! )
口を塞がれたままの絶叫に次ぐ絶叫。鼻息も荒くなるが二人の男は許してくれない。亮介のファックの動きに合わせるままのフェラチオ。一樹にとっての箱入り娘ならぬ箱入り妻の綾乃。その変わりっぷりを振り返りながら目の前の絶景を眺め、感じ入っていた。それもこれも、全てはあの日から始まったのだ。
「あぁ、綾乃さんっ……イクよ? イクいいぃぁああ、イ、イ……ク」
最後のひとしずくまで注入させようと、肌を密着させたままの亮介。ようやく出し切り、背中から綾乃を抱きしめる。
一人の女をめぐる男二人の種付け争いがここにはじまった。