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私たちが部屋を借り直した理由
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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第30話 U2-1

「おかえり、出張お疲れ様でした。どうだった?」

「悶絶《もんぜつ》した……」

「ヨーロッパに?」

「んなわけないだろ、綾乃とお前にだよ!」

 どっちもどっちな会話だが、楽しく盛り上がる二人を見て綾乃は眼を細める。昨日帰国した一樹を|労う《ねぎらう》ディナーパーティ+αが始まった。

「二人のSMプレイ、見たかったな……。文面だけでイキそうになったもん、俺」

 真面目な表情で一樹が言うので亮介はクスッとした。

「画像は受信できてないしな? gメールってやつ大丈夫だった?」

「うん。全然容量違うし、今後はこっちをメインで使おうと思う。検索もいい感じだし」

「綾乃にはだいたい聞いたんだけど、亮介、どうやってあんないろいろ思いついたわけ? 悔しいけど、俺あんなの一つも出てこなかったもん」

「自分でもわからない。ただ、必死だった。それに……」

 綾乃の方を見つめながら亮介が言う。

「死ぬほどかわいくて、綺麗だったんだよ……綾乃さんの表情」



「お前、やっぱり綾乃のこと……」

「うん、大好き。悔しいのは俺の方だよ。毎日一緒にいて、同じ空気吸って、心の底から羨ましいと思ってる」

 ついに言ってしまった。

 寝取られよりもずっとずっと前から。
 心のずっとずっと奥底で。
 騙し騙し抑えてきたこの感情。



「うん。やっぱりそういうことだよな……」

 穏やかな表情で一樹が言う。綾乃がそこに続ける。

「だから、あたしたち引っ越そうかと思うの」




「え、ど、どこに!? ていうかマジで……?」

 なんでも正直に言ってしまうのが亮介の性格だったが、この時ばかりは後悔した。下手でもいいからせめて|取り繕って《とりつくろって》おけば……。離れるなんて嫌だ、耐えられない。そう思っても遅い。亮介は全身から力が抜けていくのがわかった。



 
「どこにかはまだわからない。でも、お前も引っ越すんだよ、一緒に」


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