第27話 泣いちゃうセックス-1
「ぁあッ、ぁあッ、ぁあッ、ぁあッ――」
「ほら、もっといやらしい腰使いしろよ。もっと気持ちよくなりたいんだろ?」
スパンキングしながら亮介は綾乃を煽る。
「うぅ……ぁあ、そんな……感じちゃう……」
亮介の言葉責めにすっかり堕ちてしまった綾乃。その声はうわずったり、芯のないか細い声になったりと乱高下を繰り返す。そして、涎を垂らさんばかりに虚《うつろ》な様子が妖艶さに満ち満ちている。一樹がどこまで開発できているのかはわからない。しかし、ここまで乱れた姿を見せてくれている綾乃が眼前にいる。亮介にとって、これは男冥利に尽きると言っていいだろう。
「どうした、もうおしまい?」
綾乃の腰の動きが緩慢になってきた。
「……違うの……あたしどう……か……なりそう……で」
亮介の頭に、もっと意地悪なアイデアが浮かんだ。
「しょうがないな、全く。お仕置きしないとね」
後ろに腰を引いた亮介が素っ気なく言う。
「スカート履いて。出かけるよ。ほら、早く」
外出と言っても、部屋から歩いて2分もかからないコンビニだ。何か欲しいわけでもないが、ペットへのお仕置きならやはりお預けだ。
(首輪をつけた散歩プレイって、こういう時にするってことか……)
AVで見たことのある場面がふと脳裏に浮かんだ。
「でも、散歩じゃお仕置きにならないな」
「ん? どうしたの?」
「いや、なんでもないよ。ところで、どう? 続きしたい……?」
いつもの口調で尋ねた亮介。その目をしっかりと見つめながら、綾乃はゆっくりと深くうなずいた。
「……キュンキュンしちゃった……」
今にも泣きそうな綾乃。そして亮介自身も、自分の中に新たな芽生えを感じていた。これまで興味を持たなかった加虐系の立場。まだ足を踏み入れたばかりだが、この世界には被虐者の歪んだ表情――簡単に言うと綾乃のエロい顔――を鑑賞する|愉しみがあることを知った。
「部屋に帰ったら、すぐに犯してやるからな。たくさん濡らしとけよ」
綾乃は前を向いたまま、素早く、何度も|頷いた《うなずいた》。
◆
「セックスで泣いちゃうなんて……ちょっとびっくりだよね」
綾乃は、右手で亮介の背中をゆっくりと|摩りながら呟く。
「あんなに綾乃さんが乱れるなんて思わなかった。ていうか、ちょっと怖いぐらいかわいかった」
「ありがとう……。全部、なんか全部ね、生まれて初めてって感じだったよ。あたしもなんか怖いぐらい……」
「感じた?」
「……うん」
どうやら一樹も知らないレベルにまで綾乃のドM性を引き出せたようだ。亮介は友からの要請に応えられたこと、そして独占欲を少しだけ満たせたことに満足した。