第26話 変態-1
「よくできたね、おりこう」
「う……うん……」
目から下は微笑んでいるが、眉だけはくっきりハの字。今にも泣きそうな綾乃を見て、亮介は確信した。
(SMはあんまり詳しくないけど、綾乃さんが超がつくドMということだけはわかるよ、一樹)
綾乃を遣わせた一樹の意図。どこら辺の上空を飛んでいるのかわからないが、今の亮介にははっきりと回答できる。一樹が帰ってくるまでに、綾乃にはいろいろ学んでおいてもらおうと亮介は考えた。
(あ、これが調教ってやつか――)
「こういうのがいいんだろ、ほら」
亮介の左手が綾乃の前髪周辺をぐしゃっと掴む。右手はシャッターボタンを押し続ける。
「ぅうう……いやぁ……」
綾乃の両手はまだ上がったまま。陰毛の先からいまにも雫が落ちそうだ。従順なところが被虐センスの良さを感じさせる。
「もう疲れたろうから手を下ろしていいよ。そしたらスカートを脱ごうか」
「……え……」
「脱いだらそのまま腰を落として。外でおしっこするみたいに」
「外でしないもん……あたし……」
口ごたえする綾乃。
「じゃ、今度外でさせようか?」
「ぇえ……そんな……いや……」
「いいから、早くやりな。ご主人様の言うこと聞けないならお仕置きするよ?」
従う綾乃。目の前に亮介の腰が迫ってくる。
「欲しいんだろ? これ」
(いくらなんでもベタ過ぎたか……?)
亮介はちょっと反省したが、表情には出さず、掴んだままの綾乃の髪を前後に揺らした。
「……」
ガニ股でしゃがんだ綾乃は亮介のジャージとパンツを同時に下ろす。上目遣いで亮介を一瞥した後、半立ちのペニスを一口で亀頭まで包む。
「ぁああ……」
調教はおろか、撮影さえ忘れそうになる亮介。意識が一瞬飛ぶほど、綾乃のフェラは絶品だ。それでもなんとかサディスティックな行動と言動を心がけるのだ、と真面目に思い直す亮介だった。
「うん、上手。おちんちん大好きな綾乃ちゃんに、もう一つ命令してあげよう」
甘いのか厳しいのかよくわからない言葉責めをしてしまったと思いつつ、気を強く持つ亮介であった。
「右手は自分で気持ちいいところ触ってみて」
しゃぶりながらも泣きそうな目で顔を左右に振る。判断が難しいが、亮介は敢えて継続して責めることにした。
「ほら、気持ちいいとこ。オマンコだよ……」
「――そんなの、どこか知らないもん……」
この期に及んでカマトトぶるなんて、逆に責めてくれといわんばかりだ。自分の賭けが正しかったことに自信を持った亮介は、意識的に下品な言葉遣いをする。
「チンポ入れるとこだよ、わかってんだろほんとは」
「うぅうううう……」
長い髪を振り乱して左右に首を振りながら肉棒に喰らい付いていく綾乃。その手は素直にヴァギナへと向かった。
ピチャピチャという音と、ジュルル、ジュパッという音が混ざり合う。カメラを置いて自由になった亮介の右手は綾乃の乳房を弄び、その卑猥なハーモニーに綾乃の声ならぬ声が加わって三重奏を奏でる。
「ノーパンでお出かけ、たくさん感じたんだね……? 気持ちよかったね……? ここに来るまでずっと濡らしてんだね……?」
|飴と鞭のように亮介が今度は優しく問いかける。その度に泣き笑いのような表情で綾乃が|頷く《うなずく》。これを見て萌えない男が存在するだろうか。
「よく頑張ったね、ご褒美《ほうび》の時間だよ」
「うん! うん!」
子犬のように狂喜する綾乃の両手をソファの背もたれに持っていく。パンストを左右に思い切り割き、綾乃のヒップを露わにする。
「綾乃が大きくしてくれたから、今度はブッ刺してあげようね」
亮介は綾乃の耳元で囁く。
「あ、あぁん…………え……?」
第一波がポルチオに撃鉄《げきてつ》を喰らわせたのに、次が来ないことに戸惑った綾乃。たまらず後ろの亮介を振り返る。
「刺すとは言ったけど、動くとは言ってないだろ。振るんだよ自分で、腰を!」
「――!!!」
瞳孔が開いているのかまではわからなかった。だが、綾乃の目の色が変わったことだけは確かだった。綾乃が性の奴隷にメタモルフォーゼ――変態――した。
一樹より自分の方が優位にある。亮介はそんな気がした。