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私たちが部屋を借り直した理由
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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第21話 綾乃劇場-1

 少し迷ったが、亮介は最初の寝取られの夜の一樹と同じく、襖の隙間から覗きをすることにした。一つ違っているのは部屋の電灯は点けたままだということだ。綾乃の髪が乾くのを待つ間、一樹は亮介に質問してみた。


「結局アウトレットには行ってないの?」
「うん。高速に乗って20分ぐらいかな、どうしても綾乃さんを抱きたくなってしまったから、降りてすぐラブホ行った。一回目の電話もそこからしたよ」
「なるほどね。俺の携帯バッテリー無くて、電源落ちたんだよね。ていうか、お前ら二人とも電源切っただろ? あれ何?」
「あれね。あれ、実は2つめのラブホへの移動中だったんだ。面白かったでしょ?」
「わざわざラブホをはしごするなんて常識はずれもいいとこだ」
「ははは。だって、近所じゃないと一樹呼べないじゃん」
「そういうことか……。俺完全に遊ばれてたってわけだね。ちくしょう頭くるな、これ」
「でも、よかったよね? こういう方向性、間違ってないだろ?」
「うん……(笑)。でも俺あの時散々な目に遭ったんだけど!」
「へえ、どんな?」
「くだらなすぎるから、いつか機会があればな!」
「はーい」


 なんだかんだでいつもの一樹が戻ってきたようで亮介は嬉しかった。主従関係ではないが、リーダー気質というか、引っ張っていくタイプの一樹と突っ込まれタイプの亮介だから、これが一番肩肘の張らないコミュニケーションの形なのだ。

「それと、まだ聞きたいことがあr」
  
 ドライヤーの音が止んだ瞬間、一樹は話すのをやめて洗面所の綾乃の方へ急ぐ。


 
(ぁあん、ちょっと待って)
(綾乃……欲しい……今すぐ欲しい)
 
 二人がいる方向から声が聞こえてくる。
 話が違うというか、まさか突然始まってしまうなんて聞いてないぞとは亮介は言わない。それほどまでに一樹は我慢し、追い詰められて今日を過ごした。綾乃を渇望するのも無理はない。それでも、さすが姉さん女房というべきか、なんとか一樹を嗜めて帰ってきた。

 一樹が綾乃の手を引っ張りながら部屋に入っていく。襖が閉まる寸前に亮介の目を見てニコリとする。

 お互いにわかっているのだから覗きでもなんでもないのだが、建前上はいないことになっている存在、今回はそれは亮介だ。

 




「いいわよ、来て……」

 一樹は綾乃という海に顔を埋める。ビシャビシャという音を勢いよく立てながら、鼻先や唇、舌、顎、その全てを使いながら顔を上下させる。バタフライ泳法のように大きく拡げた両腕は、綾乃の細すぎない美脚を拘束していた。

「うぅ……ん、ああん、一樹……気持ちいい……」

「綾乃……綾乃……綾乃――」

 それこそ水泳の息継ぎのように、必死のクンニの合間に名を呼ぶ一樹だったが、意を決したように頭を上げると、びしょ濡れの顔を拭おうともせず、脈動する性棒を容赦無く綾乃に突き刺した。

「ぁあああああああ!」
「綾乃、ずっとずっと抱きたかったよ、綾乃――」
「あたしもよ一樹、おっきい、大きいわ、素敵……」
「ああぁッあぁッあぁッあぁッ」

 あの夜、正常位で一樹に見せつけた亮介がまさしく正反対の立場で見せつけられている。そして綾乃が他の男に抱かれているのを初めて目の当たりにしている。

(綾乃さん……綾乃さんが取られてしまうような気がする)

 もう既に言っていることがおかしいと亮介は気づいている。夫の要請とはいえ所詮はただの間男――間男でさえないのかもしれない――だ。しかし結婚とはただの制度でしかない。男と女という枠組みでは本人本位が絶対的に正しいはずだ、と弱々しい理論で心を支えている。


 もう一つ感じていることがあった。
 
 綾乃の抱かれ方が自分の知っている綾乃とは違うのだ。言葉遣いや立ち居振る舞い。蝶のように優雅に舞う大人の女性が、猛り狂う男子を迎え入れてくれるような――。一樹にだけこうなるのか、それとも今、突然変異したのかはわからない。


「いいわ、あたしの膣内《なか》に出していいわ……よ……うん、出しなさい……ぁあ、一樹、んあぁあぁあ……」
「あ、綾乃……あぁ……うん、出す、出す……綾乃に出すよ……綾乃の中に……ぁあ、ぁあ――」


 しばらくの間動けない二人。一樹が脱け出すと、結合していた形をまだ覚えているアシンメトリーな口を開けたヴァギナから一樹の分身粘液が零れ落ちる。


 綾乃劇場は亮介に強烈な一撃を与えた。
 亮介はもう、綾乃を諦めきれなくなってしまった。


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