第15話 「今、どこ!?」-1
ホテルのドアを開けてすぐ、亮介はパンプスを履いたままの綾乃の両手を壁に付け、そのワンピースの裾を|捲り《めくり》上げる。下着は横に逸らして後ろから乱暴に突き上げた。
「ア、ぁあ! あっあっあっ、あっ、あっ……あああっ」
「前戯もしてないのにこんなに濡らして……そんなにセックスが好き?」
「いやっ、……そんな意地悪……あっ、あん……やめ……あぁ」
上品な雰囲気と違って、綾乃の尻周りの迫力はすごい。玄関のダウンライトが綾乃の腰から臀部全体に亮介の視線を誘導している。
「ほら、どうせ今朝もたっぷりザーメンを流し込まれてきたんだろう? もっと欲しいんだろ?」
「ダメよ! ……いや! そんなんじゃ……ない……ァアア、もん……あたし……あぁ……」
「じゃ、あのバスルームの立ちバックはなんだったの? あんなにエロい顔して嬉しそうに」
「だっ……て……あっ、あん……だって……ァァァァアア…!」
ほとんど悲鳴に近い声をあげる綾乃。その尻に勢いよく腰を打ち付ける亮介。その乾いた音は廊下にも響いているはずだ。清楚のベールを被ったこの性の虜を白日の下に晒してやりたい――。亮介の加虐欲求が今、目覚めた。
「綾乃さん、イク、イクよ、あ、綾乃――!」
「あああああああああああ、亮介くん……来て! ぜん……ぶ……全部……ちょうだい……」
◆
9時に亮介が迎えに来て以来、綾乃からは何も連絡は無い。上から、二人を乗せた車が敷地からゆっくり出ていくのを見送った時から一樹の勃起は止まらなかった。起き抜けに綾乃の中に注入したばかりだというのに――だ。
「買い物なんて早く終わらせてくれたらいいのに」
大渋滞でもなければそろそろアウトレットに着く時分だろうと思いながら一樹はコーヒーを淹れる。夕食はピザでも取ろうか。ビールも少しばかり買ってきておこう。携帯に手を伸ばして検索を始める。バッテリー残量が半分を大きく下回っている。充電ケーブルを差し込もうと立ち上がったその瞬間、一樹の左手が強い振動を感知する。綾乃からの着信だった。
「はーい、綾乃。もう着《つ》い――」
「あぁッ、あぁッ、あんっ、あんっ、あっ」
「あ、綾乃――! 今、どこ!?」
「か、一樹……あた……し、ホテル……あんっ、で……突かれ……てる……ううぅ……あんっ、あんっ、」
「買い物してるんじゃなかったのか!? なんで!?」
「りょう……す、亮介……くんが……」
「え? 亮介がなんだって!?」
「亮介くん……が……あああああんっ……いや、あああんっ……欲しい……って、あ……たしを……あんっ、あんっ、あんっ、あんっ、」
「綾乃――! あ、綾乃――!」
喘ぎ声に涙声が混じってきた綾乃と、ほぼ涙声の一樹。
「気持ちい……い……こんなの……だめ……だよ……あぁ、あんっ、でも、でも、いいっ、すごく……」
「気持ちいいんだね、よかった。愛してるよ……」
「あたし……も……愛し……てる……でも……犯さ……れ……あんっ、てる……あたし、アァァァん……ごめんなさ……い……ごめん……なさ……い」
「いいんだよ、綾乃、絶対絶対愛してるから、綾乃大好きだから、だから!」
「ああああぁぁッ! イクイクイク……ダメっ、激しッい、来て、……一緒にあんっ、一緒に……あああん……りょう、亮介くん、りょうすけ……ああっ、ああっああっああああ」
嬌声という表現なんて生ぬるい、もっと切実で鬼気迫る綾乃の金切り声は突如断絶した。