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嘘をつく女の子
【女性向け 官能小説】

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偽物のお嬢さん-1


1、ある女性との出会い

もう何十年も前の話、私はまだ二十代前半でした。
近所のボロアパートに住んでる女の子。キャバレー勤めだと近所の食堂の年輩女性から知った。
というか、その女の子と食堂の年輩女性との会話を聞いてて知った具合。

2、彼女の住むアパートで、、、

彼女とは道端でよく話もしたし、また喫茶店でお茶したこともあります。その内に彼女のボロアパートへも行く間柄に、、、。

3、アパートでの会話

「私、東京へは出て来て一年くらいかな。田舎の漁村ではね、お嬢さんだったの。裕福な家庭で、お手伝いさんが二人いたわ」
「私って凄い我儘で、お手伝いさんの作った物が気に入らないと投げつけたり、時にはビンタしたこともあったね。今思い出すと悪いことしたなって」
「あまりにも我儘だったから親も呆れて!私、とうとう家を飛び出しちゃった。だから、今苦労してる、うふっ」

4、彼女のいるキャバレーへ、、、

「ねえ、今度、店に来て!」
行ってみると大衆キャバレーといったどころか。
せいぜい一時間位店で飲んで終わり。彼女はあちこちの席を忙しそうに廻る。
その指示をするマイクの声がうるさい。がっかりしました。

5、再び彼女のアパートで、、、

彼女のボロアパートは、六畳一間、狭い小さな流しがあり、そこで料理。
トイレは共同。お風呂は共同で使用だが、皆たまに銭湯へ行くらしい。

そこでまた昔ばなしが始まりした。
「私、男の子をよくいじめたよ。殴ったり、蹴ったり。スーッとした!」
「でも、今では男にいじめられてる。こんな商売してると特にね」
「だから、お願い!私を守ってぇ!きょうお店に来てぇ!私を指名してね」

6、彼女のその後、、、

私は彼女に言われるままに店に何回か行きました。
その内に、店の他の女の子の私を見る目がおかしい。呆れたような、小馬鹿にしたような、、、。

そんなこともあって、店には行かなくなったのです。ある日彼女から電話が、、、。
「私、店辞めちゃった。腎臓悪くして、ながいこと入院してたの」
「あっ、そう」と私は気のない返事。あまりにもいい加減な子なので、何言われても本気にしなくなっていたのです。
「あら、冷たいのね」

電話はそれで終わり。たぶん金背的な援助でもしてもらいたいのか。でも、それから電話がかかって来なかったとこみると、他の男に片っ端から声をかけているのでしょう。

7、店の他の女の子から聞いた話

しばらくして店に行ってみました。もちろん彼女はいません。

他の女の子が席につき、こんな話をしてくれました。
「ははは、あの娘、田舎で金持ちのお嬢さんだなんて!みんなにそう言っているみたいね。歳からなにからみんなウソ」
「病気で入院してたのはホントよ」
「いいパトロン見付かったみたいよ」

なんでもしゃべる女の子でした。たぶん全部本当のはなしでしょう。

8、彼女について私が思ったこと

元々裕福な家庭で育ったお嬢さん、と彼女が言う時の様子は、いかにもしおらしい感じ。お嬢さんに成りきった感じ。
そんな出鱈目を信じた、或いは信じた振りをした男どもはいい思いをしたとか。
年齢もウソ、年齢で嘘なんかつく必要ないのに。充分に若い。

(おしまい)





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