寝たふり-1
真里は高校生の時に出来た友人だ。
寂しがりやの真里とは放課後一緒にいることが多かった。
みんな真里のことを苗字で読んだけど、私は真里と呼んでいた。
下の名前で呼ばれることは嫌だったかもしれない。
でも、私は苗字で呼ぶタイミングを逃してしまったのだ。
ベリーショートで小麦色の肌で目鼻立ちのくっきりした真里は
女の子からモテていて彼女が途絶えることがなかった。
彼女が途絶えることなのない真里だったけど、
ひとつひとつの恋愛に全力で一喜一憂してる姿に
いつも応援をしていた。
当時、真里は他校の美咲ちゃんと付き合っていた。
遠く離れた町で、会えるのは月に2、3回って言ってたかな。
美咲ちゃんと喧嘩したから一緒に会いに行ってほしいと言われた。
わたしは断った。
女友だちといえど、一緒についてこられたら嫌でしょ。
真里は大丈夫だからと、強引に私を誘った。
勇気が欲しかったんだろうね。
わたしは美咲ちゃんの住んでる地域まで一緒に行った。
図々しくも彼女の家まで一緒に行った。
久しぶり〜なんて脳天気にキャッキャッとしたけども、
内心めちゃくちゃ気まずかった。顔にも現れていたんだろう。
美咲ちゃんはそれを感じ取ったのか優しくわたしも家に招き入れてくれた。
美咲ちゃんは私の顔しか見てこない。
真里は完全に空気でぎこちなさが漂う。
空気の真里が口を開いた
「ペロ元気?」
ペロとは美咲ちゃんが飼っている猫の名前だ。
「、、、うん」
素っ気ない返事に
「猫ちゃんいるんだ!見たいな〜」
と脳天気なふりをすると、美咲ちゃんがペロを連れてきた。
あぁ、これで場が和むぞと思ったがペロはゼブラ柄のシーツのベッドに行き、丸くなっただけだった。
気まずく逃げたい私はベッドまで行き猫ちゃんをじーっと眺めて頭をそっと撫でてみるとわたしを受け入れてくれた。
わたしは2人に背を向けて、携帯でペロちゃんの写真をとったり遊ぶことにした。
狭い部屋でボソボソと会話が聞こえる。
聞き耳立てなくても聞こえてくる会話をどうにか聞かないようにしてるけど
耳に入ってくる。
気まずい。携帯から音楽を流してペロちゃんと一緒に眠ることにした。
どこでも眠れるのがわたしの長所かもしれない。
うっすら目を開けるとペロちゃんはいなくなって、部屋も薄暗くなっていた。
携帯から流していた音楽も消えていた。
18時のチャイム外から犬の遠吠えが聞こえてたけど、
すぐ後ろからは、怪しげな吐息が聞こえてくる。
「っはぁ、っはぁ、、、」
聞かないでおこうと意識を犬の遠吠えに向けたけども
どうしても耳に入ってくる。
吐息とくちゅくちゅした音が。
それからのことは覚えていない。
ことが終わったであろう。
「はるの起きてるー?」
「んー!?やばいっもう暗くなってる!」
寝たふりをしていたが、バレていたからしら。
仲直りして良かったねと声をかけて、
1人電車に乗り家へ帰りました。
おしまい