たくさんの好意-9
バツが悪そうに俯き気味で後ろをついてくる秋山を気にしながら健斗は駅付近のちょっとした公園に導きベンチに座る。少し気まずい雰囲気が流れるが、まず健斗から口を開く。
「あんな事、バレたらヤバいじゃん…」
何の事を言われているか、秋山には自覚があるようだ。素直に謝る。
「悪りぃ…」
「いつもやってんの?」
「いや…、今日が初めて…。嘘じゃない、ホントだ…信じてくれ!」
「信じるよ…。信じるけど…」
「悪りぃ…」
すっかり落ち込んでいた。
「どうしてあんな事…」
秋山は少し言葉に詰まる。
「あの…、…、自分でもどうしていいか分からなかったんだよ…。もう…何て言うか…、最近…、その…」
「何かあったのか?」
最近のおかしな様子の理由を探ろうとする健斗、秋山は躊躇っていたが、ようやく親友の健斗を相談相手として求める気持ちになった。
「…、山口、いるだろ?俺の組の…」
「サッカー部の?」
「ああ。最近ヤツに彼女が出来てさ…、で、彼女との事色々話して来るんだよ。キスした話とか、どこ行ったとか。そんぐらいならいいんだけど、ヤッた話もして来てさ…。SEXがどうとか、フェラは最高とか、オマンコがどうとか。もー羨ましいってゆーか、色々想像させられてさぁ…。頭ん中がいやらしい事でいっぱいになっちゃって…。何をしても手につかなくて、エロい事ばかり考えちゃうんだ。そしたらもう、SEXしたくてしたくて仕方なくなって、でもいくらセンズリこいてもおさまんなくて…。街を歩けば女の体ばかりに目が行っちゃって。あの服の下にオッパイが…、オマンコがって。さっきゲーセンであの女の人の胸を見てたらおさまらなくなって、つい盗撮して家で見ようと思っちゃって…。だってたまんなかったんだもん!あのオッパイ!!揉みてぇー!!って…。ああくそっ!ヤリてぇ…!女とヤリてぇ…!!」
頭を掻き乱す秋山。相当苦しみ悩んでる様子だ。
(…それかよ…。しょうもねー…もっと深刻な事かと思ったわ…)
健斗は少し呆れたが、考えようによっては少し安心出来た。だがSEXに満たされている健斗にはピンと来なかったが、良く考えれば、それは自分が日菜とSEXしたくてしたくて仕方がなくなり頭がおかしくなりそうな感情と同じかなと思うと少しは秋山の苦しみが分かるような気がした。ただ性欲の吐口があるかないかの差、ない秋山にとっては盗撮したくなるぐらいに悩まされているんだな、そう理解を示した。