たくさんの好意-3
日菜への行為は健斗のすぐ近くにも感じるものであった。
「じゃあ気をつけてね?」
「うん。じゃあ。」
朝、家を出てから暫く一緒に投稿し、中学校と高校への別れ道で別れる健斗と日菜。手を振る日菜に少し照れくさそうに小さく手を振る健斗。別れて少し歩いた場所でいつも秋山貴史と合流する。
「オッス。」
「グッモー♪」
野球部でもピッチャーの健斗、キャッチャーの秋山、バッテリーを組む2人はとても仲がいい。きっと一生付き合って行く親友なんだろうなとお互い思っている。そして秋山は日菜の猛烈なファンだ。いつも朝、健斗と別れて歩いて行く日菜の姿を見てうっとりしていた。
「しっかしやっぱ可愛いなぁ、健斗の姉ちゃんは♪」
健斗は溜め息をつき呆れた表情で答える。
「お前、毎朝そう言うよな。」
「だってあんなに可愛いんだもん、しょうがないだろ?」
姉を褒められるのは嬉しいが、きっと日菜をオカズに毎日のようにセンズリをこいてあるであろう目で見ているんだろうなと思うと複雑だ。
「毎日見てるから分かんないよ、可愛いんだかなんだか。だいたい姉貴を可愛いとか思わなだろ?普通。」
とか言いながら、じゃあ自分は普通じゃないなと思う健斗。
「そうかもしれないけど、羨ましいわー。あんな可愛い姉ちゃんと一緒に暮らしてるとかさー。なぁ、一緒に風呂とか入んないの?」
少し動揺したが、ひた隠す。
「入らねーし!」
「裸とか、見たりすんの?」
「見る訳ないだろ!?裸でそこらをウロウロしてねーわ、さすがに。」
「だよなー。じゃあパンツぐらい見るだろ?洗濯して干してあるのとか!?どんなパンツ履いてんの??」
「ふ、ふつーのだよ。」
「色は??」
「白しか見た事ないし。」
「白かー、やっぱ日菜様は白が似合うわー。」
「日菜様…」
「でもやっぱ天使みたいだ、日菜様は。うん。」
まるてアイドル扱いだ。他の奴なら嫌悪感を抱くんだろうが、秋山には特にそれを感じなかった。確かにエロい会話は好きだが、それ以上にこれまで野球の話をたくさんして来た。試合前は一緒になって相手を分析し、いかに抑えるかを真剣に話し合っている。2人には強い絆がある。だから秋山が日菜をヤるヤらない的な目だけで見ていないのが良く伝わっていた。純粋な好意を秋山から感じられるから、少しぐらいの事を気に止める事はないのであった。