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杏奈の気持ち 〜 秋陽 〜 杏奈と健
【姉弟相姦 官能小説】

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杏奈の気持ち 〜 秋陽 〜 杏奈と健-55

「杏奈に一目会った瞬間にわかっちゃった。この子は人の痛みがわかる子だ。素直でとても心の優しい子だ、って。
だって会ったその日の内に健が笑顔になれる人なんて今までいなかったもの。お人形さんで健が笑顔で遊んでいるのが奇跡だと思えたの。お父さんでさえ、まともに目を見るだけでも一週間かかってたんだから。

健にね。その日の夜にお姉ちゃん出来て良かったね。って言ったの。
そしたら健ったら毎日お姉ちゃんに明日会える?って聞いてくるの。
健の口からはお姉ちゃんて言葉しか聞けなかったくらい。
明日は無理ね。今度の日曜にね。って。
それでも明日、明日って言うのよ。」

「仕事を与えてくれて、私たち親子のことを心配してくれて、折りに触れ、充分な収入は渡せてないから、って野菜とか知り合いに貰って来たって渡してくるの。
スーパーの袋に入ったのを。
わざわざ買って来てくれたんだ、ってすぐにわかった。
でもそんな気遣いが嬉しくて···
その上に、健に素敵なお姉ちゃんまで与えてくれた。そんなお父さんのこと、好きにならずにはいられないでしょ?」

お母さんはそういうと、涙を堪えるような表情で無理に笑顔を作ってアタシの目を見た。

「お父さんがね。
杏奈の所へ通うようになった何回目かの日曜日の夜、健と私をアパートへと送ってくれた時に、せめてお茶でも、って無理に部屋へ入ってもらったの。

健もぐっすり寝てたし···

私から奪っちゃったんだ。
お父さんの貞操。

だってお父さんてああいう人でしょ?
会社でもあかさまに肩揉んだり、さり気なく手を合わせても、まったく動じないんだもん。

実力行使しかないと思って、私から迫った。

でも、お父さんも私の事、個人的にも好きになってたって言ってくれて。
お父さんは困難にたった一人で立ち向かっている私を放っとけないって言ってくれた。
美しい人はより美しく輝いているべきだって。

私も片親で、私のために母は無理して病気になって、癌だったけど、自分が殺してしまったって負い目を感じてたし、幼馴染みで結婚した旦那さんは事故で亡くなって、それも私たちの生活を楽にしたいって無理したから···
私にはもう神様なんていないって思ってたけど····
お父さんと出会って、神様はまだ私を見捨てた訳じゃなかったんだ、ってその時、そう思えたの。」

お母さんは初めてのお父さんとの馴れ初めを少し辛そうに教えてくれました。

お母さんのお父さんに対する想いが伝わって来て、アタシの健に対する想いと重なったような気がしました。

「アタシはお母さんがアタシのお母さんになりたいって、言ってくれた時、ものすごく嬉しかったよ。
だってお母さんはアタシの理想のお母さん像そのものだったから。
アタシは姉弟も欲しかったから、ダブルで嬉しかったよ。」

お母さんはアタシの言葉を聞いて、いつものようにアタシを抱きしめて、頭を撫でてくれました。

「杏奈は私の理想の女の子だったの。人に懐こうとしない健が唯一心を開いた子だったし、杏奈の笑顔と健の笑顔が、私に生きて行こうと思わせてくれた。お父さんがアタシに一緒に生きて行こうと背中を押してくれた気がしたの。」

アタシもお母さんをギュッと抱き締めました。

「小学生の時にさ。健が大勢にイジメられてて、アタシ健を助けることしか考えられなくて、喧嘩になっちゃって、学校にお母さん呼び出された事あったでしょ?
あの時、怪我させた相手の親にお母さん、一生懸命謝ってたけど、お母さん、アタシの事、悪いって一言も言わなかった。自分の教育を今一度考え直しますって言ったけど、アタシを一切責めることしなかった。
それどころか、健守ってくれてありがとうって言ってくれた。
アタシ、あの時に、ああ、ホントのお母さんだ、って思ったんだよ。」

アタシはそう言うとお母さんの顔を見上げていた。

お母さんはそんなアタシに優しい笑顔で
応えてくれた。

「私は喧嘩をしてまで健を守ろうとしてくれたお姉ちゃんの杏奈がとても誇らしくて、実はとても興奮してたの。凄い、凄いって。

こんな正義感溢れる子供を与えてくれたお父さんに感謝する気持ちと、杏奈を私に授けてくれた神様に感謝する気持ちしかなかった。

だって女の子なのに、いくら年下とはいえ、大きな男の子に立ち向かうなんて、たぶん私には出来ないから。
私ならオロオロして周りの人を呼ぶくらいしか出来ないって思ったの。

相手のお子さんの怪我も怪我ってほどじゃなかったのは目に見えてたから、私が謝って済む事なら、いくらでも謝ってあげる。そんな気持ちだったよ。

あの日ね。お父さんにその話をしたら、お父さん、私にありがとう、ありがとうって言って、私を抱きしめてくれた。
杏奈は私にそういう幸せも与えてくれてたの。だから私は杏奈に幸せをいっぱい与えて貰ってたんだよ。」

「毎週末、料理教えて欲しいって杏奈が言ってくれた時は、母親としての実感を感じてたし、それが健の為だ、って気づいた時は、応援しなきゃ、って、私自身もいっぱい勉強出来て、ホント楽しかった。私まで恋してる気分だったもの。

それに健が一生懸命マラソン頑張ってたのも、杏奈のためだと知ってたし、毎日毎日頑張ってる姿見てると、ああ、毎日の積み重ねなんだ、杏奈も一緒になって成長してる、って思ったら、家族の絆も、人の愛情も毎日、一日一日の積み重ねなんだ、って私もお父さんも教えられてる、って感じてたよ。
私は母親として、凄くそれが誇らしかった。」


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