杏奈の気持ち 〜 秋陽 〜 杏奈と健-42
もう全く自分の意思では身体が動きません。
ただヒクヒクとヒクつき、寄せては返す波のように身体中のアチコチがピクンピクンと跳ね上がります。
意識はまた波間を漂うように揺れていました。
健もすっかり動きを止め、アタシに合わせてくれているんだと、薄れ薄れの意識の中で感じ取っていました。
健が乱れたアタシの髪を整えようと髪の毛を梳かしてくれますが、それさえも大きな渦となってアタシの興奮を昂らせます。
プルプルと震える手でアタシは髪を梳かし続けてくれている健の手を取り、その手の甲に唇を寄せました。
それを慈しむように頬へ寄せ
「ああ···ヤバい。健。ヤバ過ぎ。壊れちゃいそう。。。」
アタシはそう口にするのが精一杯でした。
言い終えると身体全体が力を失い、アタシはそのまんま仰向けにパタリと倒れ込みました。
とても長い距離を全力疾走したかのように息はハァハァと続きます。
健も抱えていたアタシの左足を解くと、アタシの両足はだらしなく開いたまま、全ての力が抜けているのが自分でもわかりました。
健がそんなアタシの胸に手を置いて、優しくゆっくりと揉む感覚が伝わって来ました。
そんな柔らかな刺激にさえ、今のアタシは敏感に反応し、ビクンビクンとお腹を震わせます。
腰に思わず力が入り、背中も合わせるように反っていました。
そして健がゆっくりと動きを再開したのが伝わってきます。
ざわめくアタシの内部をゆっくりと健のモノが掻き分けているのが伝わりました。
押しては返す絶頂の快感と、ゆっくり動く健のモノが掻き分けていく気持ち良さが交わり、アタシはまた満たされていきました。
そこに健はアタシの胸を揉み始め、身体全体に健が満ちていくような感覚を味わっていたのです。
健。
健。
健。
アタシの愛しい人。
アタシの中は健に満たされ、身体中で健を感じ取っていました。
「ンッ!···ンッンン···ンッ!ンッンン」
健の動きに合わせるように、アタシはまた声を上げ始めていました。
ハァハァと息は荒いままです。
健はアタシの膝裏をすくい上げ、前傾姿勢で激しく突いて来ました。
アタシはどこかでそれを待っていた気がして、「突いて!もっと突いて!健の逞しいその身体でメチャクチャにしてっ!」と心の中で叫んでいました。
その心の声が伝わったかのように健は激しく動き始め、溢れ出るアタシの蜜が加わり、パンパンと音を立て始めました。
健の動きに合わせて「アッ!アッ!アッ!アッ!」とアタシの声が上がります。
健のギアはアタシの声によって一段と上がり、アタシはまた押し寄せる波を感じていました。
「ア"ー!ダメぇ〜!おかしくなっちゃうー!」
思わず声が出ます。
パンパンとした音は破裂音のように部屋中に響いていました。
「ア"ーッ!ア"ーッ!」とアタシの声が健のリズムから外れるように変わります。
アタシはどんどんと意識の中で高い所へと登り、それがスッと落ちる感覚を覚えていました。
「ア"ーーッ!···ウ"ーンーッ!」
声にならない声を上げて、アタシは果てていました。
ハァッ!ハァッ!ハァッ!とアタシの苦しげな呼吸音だけが遠くに聞こえていました。
背中はベッドから浮き上がるように反ったまま、健に抱えられていた足は意思とは関係なく上下に宙を泳いでいました。
健のモノがアタシの中で少し動いただけでもアタシの内部はざわめき、蠢いていました。
身体全体がヒリヒリするほど敏感になり、どんな動きでも感知するかのようにアタシに迫って来ていました。
それでも意識はどこか違うところにあり、アタシはとても穏やかで静かな海の上を漂っている感覚に満たされていたのです。
意識と感覚がまるで切り離されたような感じがしました。
それがとても心地良くて、アタシは幸せだと感じていました。
アタシの意識と身体の動きが止まったのと同時に健の動きもピタッと止まっていました。
アタシの内部がウネウネと動くと健のモノもピクンと反応していました。
でも健は何か物思いに耽っているような、遠くを見つめるような目で少し息を荒げ、手をベッドへ着けたまま固まっていました。
長い時間をかけて、アタシは少しずつ戻りつつありました。
健が息を切らしながら、ずっと遠くを見ているのが気になって、「健。大丈夫?」と声をかけると、どこかから戻ってきたように、「大丈夫だよ。激しかったから、少し休んでいるだけ。」と返事してくれました。
健の顔がはっきり見えるようになると、健は上半身が汗まみれなのが見て取れました。
アタシはベッドのへッド部分に置いてあったタオルへと手を伸ばし、それを取ると、折り畳んだまま健の汗をポンポンと叩き拭くようにして汗を拭いました。
健はようやく微笑んでくれて、アタシは何事もなくて良かったと、やっと安心出来ました。
顔から首筋、胸まで汗が吹き出していた健は、少しずつ息も整い、汗もそれに合わせて引いていきました。
タオル、もういらないかな?と思った時でした。
健がアタシに顔を寄せてきて、とても優しく口吻をくれました。
それは柔らかく始まり、そしてとても濃いものに変わっていきました。
アタシは再び息が荒くなっていくのを感じていました。
それは健も同じです。
アタシの内部が刺激を受け、ざわめき始めると、健のモノもそれに反応してピクンと中で跳ね上がります。