杏奈の気持ち 〜 秋陽 〜 杏奈と健-39
アタシは即座に気づきましたが、もう快感はアタシが自分でコントロールできる範囲をとっくに超えていました。
「アアッ!ア"ー!ア"ー!」
えっ?コレアタシの声?
そう思ってしまうような声が出て、アタシは腰が浮き上がるほど背中を反らせていました。
目の前が真っ白に霞んでいきます。
来ると思いました。
「イクッ!イクッ!イッちゃうー!」
そう声を上げるのが精一杯でした。
アタシの中全体に電流が流れたように感じました。
そしてまたアタシは漂っていたのです。
優しく柔らかい波の中を。
自分の中から「ンッ!ンッ!ンッ!」と声が漏れているのがわかりました。
それは何度も寄せては返す波のように快感となってアタシに押し寄せて来ていました。
健がアタシの中から指を出し、そっと頬に手を寄せて来る感触を覚えていました。
途切れ途切れに押し寄せてくる感覚の中で頬に伝わる温かさが心地良くて「健。ヤバい。気持ち良すぎ···」とアタシは口にしていました。
健は「杏奈が感じてくれると僕は嬉しいよ。」と優しく囁き、そっと口吻をくれました。
そして健は更にアタシの秘部に唇を寄せ、「綺麗だ杏奈。少し蜜が流れてる。」と囁きながら、舐め始めました。
もうそれだけで凄まじい快感の渦が巻き起こります。
「アアッ!」
背中が反り、腰が震えます。
健は口を大きく開け、アタシの全てに吸い付くようにして、舌だけを膣口へと突き刺すように刺激してきます。
そのまま顔を円を描くように回したり、上下させたりして刺激感はどんどん強まります。
アタシは両腕を曲げ、シーツを摑む事で快感の渦から耐えていました。
やがて健の舌は膣口から離れ、クリトリスを刺激し始めます。
柔らかな舌先が少し固く感じた次の瞬間、それはバイブレーションを伴ったかのように波のような刺激感に変わり、次から次へとアタシの背中から頭の奥深くに伝わって来て、アタシの声はより高く、震えるような声へと変わっていきました。
「アアアアアッ!アアッ!アアアアアッ!」
アタシは今までで一番刺激が強いと思い、健の腕を掴んで力いっぱい握りしめることで何とか快感の渦に耐えようとしました。
自分が今まで発したことのない声が出ているのに気づきます。
それは声にならない悲鳴にも似た声でした。
それは突然訪れました。
すうっと目の前が白くなり、アタシは小さく「イックッ!」と声に出しただけで意識が遠のいていく感覚に陥りました。
身体中に低周波EMSを当てられたかのようにヒクンヒクンと筋肉が収縮し、意識だけが波間を漂っていました。
アタシは50メートルを全力疾走した後のようにハァハァと息を切らし、自分の意思とは関係なく収縮する筋肉たちと闘っていました。
アタシの意思とは全く関係なく「ンッ!ンッ!」と筋肉の収縮に合わせて声が出てしまいます。
健が心配そうにアタシの髪を梳かすように頭を撫でてくれていました。
それさえも刺激の後押しとなり、敏感になっているアタシを更に快感の渦が迫ってきます。
アタシは何の意識もなく髪を撫でていた健の手を取り、指を舐め始めていました。
それはふいに指を与えられ、吸い付く赤ん坊と同じでした。
健はそれでも空いたもう片方の手でアタシの髪を撫でてくれていました。
その波はいつにも増して長く続き、アタシを完全にトロけさせていました。
「健、スゴ過ぎ···アタシ、おかしくなっちゃうよ···」
いや、完全におかしくなってるよね。アタシ。
そう思っていたら、「杏奈がいっぱい僕を感じてくれて嬉しいよ。おかしくなっても杏奈は可愛いから。」そう健が口にしたのです。
おかしくなっても可愛いって変じゃない?と思ったので、「それって変なの。」と返して笑ってしまいました。
アタシはようやく絶頂の余韻から覚め始め、少しは健にも気持ち良くなって貰わなきゃ、と思っていました。
身体もなんとか動きそうだったので、上体を起こし、「今度は健の番だよ。」と言ってアタシが仰向けになっていたところへ健に横になってもらいました。
アタシが感じていた姿を見る事で、健のモノは雄々しく反り返っていました。
アタシは健の股の間に潜り込み、そこで四つん這いになると、健の亀頭部分をペロッと舐めて、「ヘヘッ♪健、ギンギンだね。」と見たまんま口にしました。
健が「だって杏奈、魅力的過ぎるから。」とまたアタシを褒めるので、健には変な才能があるんじゃないかと思い始めていました。
だって健の言葉は女の子が心から喜ぶような言葉しか出て来ていなかったからです。
「健って、ホストとか才能あるんじゃない?」
そう言うと、即座に「えっ?!なんで?」と返ってきました。
「だって女の子が喜ぶようなセリフしか言わないじゃん、絶対才能あると思うな。」
アタシは思ったまんま健にぶつけていました。
「いやいや、杏奈に言えても、他の人になんか、絶対言えないから。」健も即答でした。
健の真面目な受け答えが可笑しくて、でもなんとなく納得出来なくて、「そっか。ならいいけど、ホストとかならないでね。嫌だから。絶対。」
と自分勝手に不機嫌になるアタシがそこに居ました。
「ならないよ。てか、なれないし絶対。」
健も心外だと言わんばかりにアタシに不満をぶつけてきたのが嬉しくて、アタシは健のモノを咥えたままニッコリと微笑みました。
アタシはあんなに気持ち良くさせて貰ったのに、健の気持ちを苛立たせた事を少し後悔していました。