女教師、合意での複数プレイ@-2
「ふーん。堀尾くん、そういう趣味があるんだ」
「あ……っ。いや、僕、全然そういう経験なかっ…………でも」
「でも、してみたいってこと?」
メガネの鼻の部分を中指で上げながら、少し苛立ちつつ言い放つ。
「………はい」
「……高橋くんに十四時頃来てくれるよう、伝えておいてくれる? でも、きちんと避妊して欲しいのと、乱暴なことはしないで。あと家でゆっくりしたいから夜には解放してもらえると助かる。約束できる?」
受け入れると言った手前、由美香はその提案に従おうと決意した。
「い、いいんですか」
翔は顔を上げるが、複雑そうな顔をする。
由美香はため息をついた。
「あたしが断れないの、わかってて頼みにきたんでしょ? それに、あたしのせいで二人が仕事をやめたり、みんなの関係がこじれたりするのは嫌」
「わかりました、伝えておきます」
そう言うと翔は立ち上がり、進路指導室を去っていった。
ーー翌日、由美香は下着の替えなどを持って出勤し、どきどきしながらも何とか講習を終える。
長い休みに入る前に、自宅で作成した教材のデータを貸与されているパソコンに移すなどして、やることがなくなったタイミングでスマートフォンを眺めた。
拓真からメッセージが入っている。
《14時に駅前のコンビニまで来て貰えますか》
この高校の最寄り駅までは、高校から徒歩五分ほどだ。
その横に、コンビニが建っている。そこに来いということなのだろう。
十四時まで、あと三十分ほどだった。
「ーー先生、急にすみません。今から翔のこと拾いに行きます」
運転席には拓真が座っており、由美香は助手席に乗り込んだ。
白のポロシャツに、ジーンズ、ビルケンシュトックのサンダル。
青色のレンズがはめられたサングラスをかけていた。
まだ、翔は車に乗っていない。
由美香がシートベルトを着けたのを確認すると、拓真はアクセルを踏み込む。
一定の速度で運転しており、この状況に緊張しつつも、こんなささいなことが、由美香にとって安心材料のひとつだった。
「本当は嫌ですよね、すみません」
しばらくして、拓真が切り出す。
拓真は笑わなかった。
きちんと、由美香と向き合おうとしてくれているのがわかる。
「ーー嫌かどうかも、もうわかんない」
そんな拓真に対して、由美香も正直に伝える。
「あいつが、まさか三人でするのに興味あると思わなかったんですよね。先生とやりたいなら勝手にしてくれよって思ったんですが、まあ、するなら、楽しい方がいい……とは思うんで。
ちゃんと避妊もしますし、痛がるようなことはしません」
遊び慣れている拓真の言うことは、やや業務的に感じられた。
その意味では、きちんと感情も伝えてくれた上で割り切っている拓真の方が、翔よりも関係を築きやすいと思った。
「清香ちゃんちで、押し倒されてさ……強引にされるくらいなら、受け入れるって言ったから今日のこと……提案したんじゃないかな」
だから思わず、先日のことを口に出してしまったが……
他者とのことを発露してしまったことで「しまった」と咄嗟に思い、「ごめん、忘れて」と由美香は呟く。
こんなに割り切っている拓真だって自分に気があるならば、他者との性的なことを聞くのは嫌だろうと思ったからだった。