集う 妻達-1
約束の10分前 拓哉は本社の玄関前に着くと和島と井上が
拓哉を迎え 本社を見上げて
「 暫くぶりだな・・・ 」
一言漏らした時 紺野と相馬が近寄り
5人の男は顔を合わせ 無言で玄関の扉を開け
人気の無い営業所の中を 社長室に向かった
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2週間前 小島から今日契約に行きますと ラインを
貰った拓哉は 森の動向を逐次小島から 聞いて
森が本社に居ない日を待ち 木曜日 社長の帰社を
入り口で 待ち続け 駐車場に向かう社長の背に
声を掛けた
「 社長!! 」
振り向いた社長がいぶかしげに拓哉を見て
「 川田君 何故 此処に居るのかね? 」
聞いて来る
「 森部長の事で ご報告が有りまして 」
拓哉の真剣な眼差しに
「 長い話しかな? 」
頷くと
「 何処か静かな場所が良さそうだな 」
携帯を取り上げ 何か二三話して
「 乗りたまえ 」
拓哉を連れ 高い板塀に囲まれた建物の
駐車場に止め 座敷に拓哉を連れ仲居に
後で 注文するからと 席を外させて
拓哉の顔を見た
拓哉は 1年の自分の身に降りかかった事と
過去3年間 森は同じことを繰り返し
去年 和島の妻の 彩さんが自殺したのも
それが原因だと話した また
経理部に在籍している 3人の女性が 森達に
輪姦されたまま 在籍して居る事
小島が 今年ターゲットに 成っていることを
話し終えた時 聞いていた社長が
「 それで 川田君は どうしようと思うのかね? 」
聞いてきた 拓哉は 4人で話し合った計画を話し
「 4人拉致して 少しだけ 痛い思いを・・・ 」
「 そうしたら 4人共病院の前に 放り出そうと思っています 」
頷いていた 社長が目を開いて
「 マスコミに 知られるのは不味いな・・・ 」
「 終わったら 私に 教えてもらえるか?
君たちの思いも判るが 会社の為に その後の
処理は 私の方でする どうだろう? 」
拓哉の目を真剣な眼差しで 覗かれ 拓哉は頷いていた
**
2週前の会話を思い出しながら 廊下を歩き
社長室の前に立ち 相馬がドアをノックした
中から声が聞こえ 5人の男達は 社長室へ
入ると 倉庫に来た社長ともう一人の男性が
立ち上がり 5人を社長の机の前に置いた椅子に
座る様に促し 5人が椅子に座り 社長の
言葉を待った
「 4人共 退職してもらった・・・ 」
吐き出すように言い 5人に視線を送り
社長の隣に腰かけていた男性が頷いた
「 横川商事の社長の 横川さんだ 」
社長が5人に紹介して 横川が5人に視線を送り
「 対馬が 申し訳無い事を ・・・・ 」
頭を下げ
「 娘に 離婚する様に 言ったよ・・ 彼奴!! 」
吐き捨てるように言い重ねる
「 今日から 経理部の監査をさせるつもりだ
休みの間に 調べて・・・ 」
社長が呟くように言い 相馬を見て
「 久美子さん 元気かね? 」
相馬が顔を上げ 頷くと
「 相馬君 頼みが有るんだが・・・ 」
「 経理部の 3人も 退職してもらわないと
成らなくなりそうなんだ 5人の内の
3人が 退職してしまうと 業務に支障が
久美子さんに 働いて貰えないかな
以前働いているから 判ると思う
一緒に 井上君の奥さん経理の
経験があると聞いてるから
お願いしたいんだが 」
相馬と井上は 帰って聞いてみると返事を
保留していた
「 紺野君 辞表は受け取った そこで
頼みが 有るんだが 7月まで松ヶ崎の
営業所を 見て貰えないか その後
こちらに 戻った時の 就職先を
紹介する 条件で どうだろう? 」
紺野は 2か月 営業所を見て 閉鎖に向け
準備すると答え 社長が拓哉を見て
「 これから 川田君達 どうするつもりかね? 」
拓哉は 項垂れ
「 これから 新しい処を・・・・ 」
社長の 顔が緩んで
「 4人に いや5人に 提案なのだが 」
男達の目が 社長に向き
「 儂と横川は 友人同士なんだ もう一人
園竹と言う友人が 事業をしているんだが
良い品を作っているが 販売力が弱い
まあ 優秀な営業マンが 欲しいと言うことだ
給与は 落ちるが 後は君たちの手腕と言うことで
どうだろう 儂達の会社も応援するから
業績を上げれば 2年か3年で 株式を上場出来る
力は有ると思うが どうだろうか? 」
和島が顔を上げ
「 やらせてください!! 」
死んだような目に 光が入った
「 あの4人共 私の知り合いに 預けてね 」
社長は5人の男を見て言ってくる
「 3人には 退職する様に 伝えてね
木下と樋口の今月の給料は無いだろう
治療費と入院代で・・・ 」
苦笑いを浮かべ
「 昨日 森に貯めた裏金を差し出すか
刑務所か 選べと言ってね 大分
貯めてた見たいだ 川田君に 聞いた
取引先の 取引履歴と支払った額も
調べて貰ってる 森が貯めた処から
少しは 4人に慰謝料を 出せると思うから
新しい処で 働く原資にして貰えれば 」
「 相馬君 井上君 川田君 どうかな? 」
3人は顔を見合わせ 相馬が頷くのを見て
社長に顔を向け 3人は頷いた