集う 妻達-2
・・・ピロン・・・・
拓哉を送り出して お気に入りの紅茶を
口にした時 テーブルの上の携帯が
通知音を出した 麻衣は紅茶を入れたカップを
テーブルに置き 画面を見ると メールに印が
タップしてみると 4月に口座を開いた
証券会社からのお知らせメールだった
麻衣は 口座を作った時の書類を 取り出して
案内を見ながら 自分の口座を開いた
そこには 現在の保有株
〇〇株式会社 5000株
預金額 11250000円
麻衣は 携帯の金額を何度も見返して
クローゼットから ビジネスバックを
取り出すと 久我に電話を 入れた
「 ご無沙汰してます 川田です 」
電話の向こうから
「 暫くぶりだね 元気? 」
明るい久我の声が聞こえ
「 社長・・・・ 」
麻衣は どう話そうか思案した
「 何? 少なかったかな? 」
笑い声で久我が 言って来た
「 えっ!! いえ! いえ!! 余りに多くて・・・ 」
麻衣は 電話の向こうで話して来る ギョロ目の久我の
姿を思い浮かべていた
「 私の持ち株だから 気にしないで 弁天様への
捧げものだから 6月に増資も決まったから
また 少し増えるし 9月に新しい製品の
発表で また株価も上がる予定だから
気にしないで 貰ってくれるかな 」
「 でも・・・・ 多いです 」
テーブルに置いた 証券会社の案内を
見ながら 話す
「 森君 辞めたそうだね 」
久我が突然 話を変え 麻衣は戸惑い
「 ええ・・ そう聞きました 」
答えると
「 もう 仕事はしていないでしょう ? 」
「 はい 」
「 麻衣さんには 感謝している 貴方のお陰で
私は 社長に成れたと思っている 私の弁天様に
捧げものを 受け取ってくれるかな? 」
「 ・・・・・・・・ はい 有難うございます 」
「 そうだな また 大きなおっぱい触らせてくれれば
良いから 」
「 おっぱいだけで 良いんですか? 」
「 弁天様に それ以上望んだら 罰があたるよ 」
高笑いを上げ 少し間が開き
「 良かったね・・・ 」
思いやる声の後
「 また 電話くれる 良ければ夜一緒に・・・ 」
笑い声を上げて 電話は切られ 麻衣は携帯を見つめ
ギョロ目の久我の思いやりを そして二度とは誘ってこない
優しさを受け取った
ゴールデンウィークが終り 月曜日から
拓哉は働き始め 相馬をリーダーにして
4人の男達は毎日 忙しく働いた
拓哉は明るい顔で 出社して行き
明い顔で玄関を開けて部屋に帰り
麻衣の手料理と 他愛無い事を二人で話し
一緒にお風呂に入り 2日か3日に一度
拓哉は 麻衣のパジャマに手を掛けてくる
冷たかった部屋が 暖かく麻衣を包み
壁に掛かった版画は 柔らかく二人に
微笑みを見せた