25歳-1
25歳にしようと言い出したのはあいつだった。
20歳じゃガキすぎるって。
それをその時は馬鹿にしたんだ。
「25歳になってもきっとあんたはガキのままだよ」
って。
『25歳』
あの時のあの約束。
「25歳になったら、必ず。」
その約束をあいつは覚えているだろうか。
今日のために会社まで休んじゃうなんて馬鹿みたい。
あいつは覚えてる保証なんてどこにも無いのに。
実家から一番近い、河原。
そこにあたしは座っていた。
仕事じゃないからメイクも薄い。デートじゃないから服装だってカジュアルで。
ハァ
冷たい空気が満ちている1月。
吐いた息が白かった。
手だってとっくに冷え切って赤くなっていた。
「もう来ないかもなー…」
誕生日になって何時間過ぎただろう。
もちろん12時きっかりに来るなんて思っちゃいないけど。
もう日が沈んでしまうよ。
「帰ろ…」
臀部についた草をパタパタと払い落とす。