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わたしと先生とK子の物語
【熟女/人妻 官能小説】

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なれそめ-2

 約束の時間の数分前に呼び鈴が鳴りました。先生をK子の部屋に案内してK子を紹介しました。K子は制服から私服に着替えています。K子も少しおしゃれをしたつもりのようで、微笑ましく思いました。K子が『よろしくお願いします』と言うと、先生も『こちらこそよろしくお願いします。頑張っていきましょう』と律儀な挨拶を交わしています。

「では、よろしくお願いいたします」

 冷たい麦茶をお出しして部屋を後にしました。ドアを閉めてしばらく耳を澄ませてみましたが、K子の声は聞こえても先生の声はよく聞こえませんでした。ぼそぼそというような話し方ではないのですが、声そのものが大きくないのでしょう。

 一時間ほどしたところで、ケーキとお茶を運びました。先生は、K子の斜め後ろに椅子を置いて座っています。K子は問題集の問題を解いているようでした。

 「ああ、すみません。どうぞお構いなく…ああ、すみません、K子ちゃんのおやつの時間ですよね」

 『すみません』と何度も言う先生が少々かわいらしく思えました。K子も笑っているようです。

 「先生、△△堂のケーキ、美味しいですよ。知ってますか?」

 振り向いたK子がわたしにかわって説明してくれました。

 「いや、あの、知らないなあ…すみません」
 「男の人はご存じないですよね」
 「そ、そうですね…ケーキなんて久しぶりだな…いただきます」 先生がショートケーキに載っているホイップクリームをフォークですくって口に運んでいます。

 「先生、クリーム好きなんですね」
 「え? ああ、そうか…うん、好きかも」
 「お皿舐めてもいいですよ」
 「まあ、K子ったら…」

 和やかな雰囲気で先生の緊張感も解れていくようでした。

 先生の教え方がお上手だったのか、K子が苦手としていた科目の成績も上がり始めました。先生にお礼を言います。

 「いえ、K子ちゃんがまじめに頑張っているからで、ボクは何も…ほとんど、こうして見守っているだけです」

 先生はそう控えめにおっしゃるだけでした。K子も手ごたえを感じ始めたのか、難関校の△△学園に挑戦すると決めたようでした。先生に来て頂く日も週に一回だったのを二回にしていただくことになりました。

 先生がいらっしゃる日は、玄関に花を活けます。勉強に一区切りついたところでK子の部屋からリビングに休憩に来られる先生と話をするのを楽しみにしています。お茶をお出しして、専らK子の勉強のことであれこれ伺ったりするのですが、年が変る頃からはくだけた話もするようになりました。

 花を活けるときも、なぜか心が浮き立ちときめいている自分に気付くようにもなりました。そしてそのことによって、夫に女として構われなくなって久しいことを意識するようになりました。性欲は以前から自分で慰めて鎮めていましたが、いつしか先生が指を使いながら思い浮かべる男性となっていきました。年甲斐もなく、娘の家庭教師をしている学生を思い浮かべる背徳感から離れられなくなっていったのです。

 『先生はもう二十歳は過ぎているのですよね?』
 『ええ。そうですけど…』
 『ごめんなさい、おかしなこと伺って。お若く見えるから…』

 未成年ではなくても、未成年でなくなったばかりの先生…。

 『のんびりしてるから若く見えるんだと思います』

 先生が自嘲するように苦笑いしています。そのようなつもりで言ったわけではないという言い訳にこんなことを尋ねてしまいました。

 『先生? わたしいくつに見えますか?』
 『さあ…?』

 先生は怪訝そうな顔をしています。(若く見える)と言われたら(わたしものんびりしているから)と話を収めるつもりでしたが、ただ先生を困惑させているだけのようです。内心、ひどく後悔してうろたえもしてしまいましたが、ここで会話が途切れるのはもっと気まずく感じられました。

 『今度の夏でわたし三十八になってしまうんですよ…』

 (三十八にもなったら、夫に相手にされなくても当たり前…ですよね)

 そんな思いも突拍子もないことをわたしに言わせてしまったのかもしれません。

 『そうなんですか? そうは見えませんけどね…』

 先生は怪訝そうな表情のままでしたが、軽蔑するような様子もなくそのまま言葉を返してくれました。

 『そうかしら? ありがとうございます』

 わたしはいくらかホッとして、ついお礼を言ってしまいました。そして、先生のことを『好き』になってしまったかもしれない…と思いました…。

 『おいくつで結婚されたんですか?』

 今までしたことがないプライベートな領域に先生が踏み込んでくれました。わたしは気持ちが昂ります。

 『短大を出て二年くらい経っていたかしら…』
 
 そう答えて当時の思い出がよみがえってきました。コンパで知り合った学生と付き合っていた日々…。逢えば身体を重ねる中で、セックスの快楽を覚えてしまったような日々…。

 『割と早かったんですね』

 いい会社に就職した男にあっさり別れられてしまったときに、持ち込まれた見合い話にすがるように今の夫に『永久就職』を決めてしまったのでした。

 『親同士で話があったみたいで…本当はもっといろいろ勉強したかったのですけど…』


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