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先生は僕らの女王様
【教師 官能小説】

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逆転する関係B-3

しばらくして、足音が部屋に背を向けた由美香の背後で止まる。

「先生、寝てます?」

汗で湿気のある由美香の髪の毛を撫でながら、清香が言う。
由美香は布団の中で振り返った。

「ん、起きてる……。仕事は? まだ昼過ぎでしょ……?」

「講習、午前中だけだし。午後早退にした。先生のこと、心配だったんだもん」

清香はグレーのジャケットを脱いで、ベッド横のデスクに備え付けの椅子にかけると、「お腹、減ってます?」と聞く。

「ゼリーとか、スポーツドリンク買ってきました。食べられるなら、うどんとか、お粥くらいなら作れますよ」

「ん……まだ食欲ないかも……」

「オッケー。じゃあ、スポーツドリンク、デスクの上置いときます」

しばらくすると、廊下の方からザーッという水音が聞こえてきた。

清香はシャワーを浴びているらしい。自分も汗だくの体をどうにかしたかったが、起きてスポーツドリンクを口にするだけでも、まだふらふらする。

「ーーふぅ。先生、あたしもお昼寝したいから、横行ってもいいですか?」

バスルームから出てきた清香はそう言うと、まだあまり動けなさそうな由美香の体をまたいで、壁側の方から布団に潜り込む。
そして、左手を伸ばし、由美香の頬に手の甲を擦り付ける。

「顔、熱いですね。寒くはない?」

「うん。大丈夫。ふらふらはするけど。家で教材研究してて、あんまり寝られてなかったかも」

もう少ししたら盆休みで閉校期間に入るからと、根を詰めすぎていたかもしれなかった。

「今日は寝られました?」

「うん。清香ちゃんが出勤してから、さっきまで本当に爆睡してた。あと、代講ありがとね……」

「いーえ。「由美香ちゃん」クラスの生徒から「由美香ちゃんじゃないの!」ってブーイングもらいましたけど」

清香はケラケラと笑う。

それに対し、由美香は眉毛を八の字にさせ、困った表情を浮かべた。

「あたしが持ってるクラスの方が、清香ちゃんとこより元気でしょ。ごめんね」

「でも先生のクラスの生徒、出来るから腹立つんだよなあ」

清香は由美香に近寄り、顔を首元の辺りに押し付ける。
その行動に、由美香は体を離そうとした。

「待って、汗たくさんかいてるから。体、綺麗じゃない……」

「全然匂わないですよ」

くん、と清香は首元を嗅ぐ。何かしようなどとは毛頭思わなかったのに。

汗をかいた体からは、独特の由美香の体臭がした。
汗くさいとは思わず、むしろ少し甘い香りだった。

どきんっと胸が高鳴る。

フェロモンなのだろう、と清香は直感する。

いつもなら自制が効くのにーー

清香は思わず、目の前の首元に、唇を押し当ててしまった。

「ん……っ」

その行為に呼応するかのように、由美香の体が震え、甘い声が漏れる。
さらには左手の指先を脇腹の辺りに這わせて、ゆっくりとなぞる。
そんな触れ方をするのは、もちろん初めてだった。
びくんっ、と由美香の体が大きく震える。

赤く染まる頬。一旦ぎゅっと閉じた瞼が開くと瞳を潤ませているのが見える。
呼吸は浅く、荒い。

翔や、拓真がやったように、自分もーー

どくん、どくん、と胸が拍動する。
清香は脇腹に這わせた指先を背中に滑らせる。
必然的に、由美香に身を寄せざるを得ない。


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