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熱帯魚の躾方
【SM 官能小説】

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映画(四)-2

 いよいよ、理沙を椅子に縛り目隠しをして性感チェックする場面に入る。武田がタオルで上半身下着姿の理沙の両手を後ろで縛り、目隠しをするシーンからだ。
 産毛に触れるように理沙の身体に触れていく。松木の汗から極度の緊張感が伝わる。
 私だけではないスタッフが固唾を呑んで見守る。緊張と興奮に嫉妬が入り混じって、汗が滲み出る。
 内腿からショートパンツの中へ指を滑らせるシーンで、理沙役の沙莉からストップがかかった。
「ちゃんと中まで指を入れてください!」遠慮した松木に促して途中から撮り直す。
 松木も必死だ。理沙の吐息が喘ぎ声に変わり、エクスタシーを迎える。
「カットぉ!すごい!すごいぞ!俺もカチカチ山!」「もぅ、監督やめてくださいよ〜!」美羽がぼやく。スタッフから笑い声と拍手が上がる。松木は右手の人差し指と親指を何度もくっつけて離す。何かの粘りを確かめているようだ。

 続いて奴隷入試のリビングでのシーンへと撮影は進む。理沙が買って貰ったレースの下着姿に着替えて登場する。彼女が投稿していたサイトのオナニーを目の前でやらせて、調教するシーンだが武田役の松木が慌てている。
「あの前貼りして貰わないと、ちょっと…。」「だって、前貼りしたら下着から透けちゃう。」理沙役の沙莉が言い返す。レースのパンティから薄いアンダーヘアが透けて見える。ピアスは外しているのか見当たらない。
「沙莉ちゃんがいいならそれで行こうよ!松木さんも問題ないだろ?」「まあ…はい。」
 ローターで調教するシーンは実際には当てているだけで、スイッチは入っていないのだが、沙莉の喘ぎ声がすごい。あの日の調教を完全に再現している。

「この場面が今回のメインになる訳だから、もうちょっと何か足したいわね!」結花が腕組みしながら親指で顎を触る。
「縛りと鞭を入れるのはどうでしょうか?」沙莉から提案が上がる。

「先生、どう?」「いいと思います。観る側もそのほうが面白いでしょう。でも、肌に跡が…。」

「大丈夫です!付けてください!ちゃんと麻縄でお願いします!」沙莉の強い視線が私を捉えている。

「先生ん家に縄と鞭あるわよね?明日、用意出来る?」「ええ、大丈夫です!でも、縛りは?」「貴方がいるじゃない!」私が沙莉を縛ることになった。

 この日はソファーに座る武田に理沙が跨り素股をしながらキスをするシーンで終わった。
 沙莉の積極的な演技にベテラン俳優の松木が逃げ腰で三回も撮り直した。
 演技とはいえ、沙莉がキスするシーンは見たくない。嫉妬でおかしくなりそうだ。

 翌日、緊縛用の麻縄と乗馬鞭、九尾鞭を用意してロケ現場入りした。コーヒーを飲みながら結花と打ち合わせをする。結花がスケッチブックにさらさらと緊縛ポーズを描いていく。
 結花が求めるのは、高手小手縛りと股縄、菱縄縛り、椅子の開脚縛り、剃毛シーンも入れたいという。粘膜内部は色を着けた油紙で隠すと言うが、男優の目の前に秘部まで曝すというのか?嫉妬で頭が煮えてしまいそうだ。
「剃毛シーンはモデルで女優設定だから要らないんじゃないのか?」「ええ、でも沙莉ちゃんの御所望よ!私はいいと思うわ。」沙莉は一体何を考えているんだ?怒りにも似た感情がふつふつと湧き上がる。

 いよいよ、沙莉を縛る時が来た。緊張で手が震える。沙莉が縄を持つ私の両手を優しく掌で包んだ。「御主人様、ありがとう。」私を見つめながら、誰にも聞こえないような小声で囁いた。
 見つめる眼差しはあの頃の沙莉のままだ。演技なのか本気なのかはわからない。下着の上から沙莉に縄をかけていく。「ダメ!もっときつく縛ってください。」沙莉の瞳の奥に淫らな紅い炎が立ち上がるのがわかる。
「ああ、責めてやるよ。覚悟しろ!」私も乗ってきた。沙莉は紅い唇に淫猥な笑みを浮かべた。背中の両腕を縛り、大きな乳房を持ち上げながら縄を通していく。途中、監督の支持でAPが手伝いに来ようとしたが、二人だけがいいと沙莉が制した。
 沙莉のきめ細かいシルクのような肌に蛇が滑っていくように縄が這っていく。「ん、はぁ、んん…。」沙莉の吐息が漏れる。スタッフ全員が固唾を呑んで見守る。沙莉が縛りやすいように首を傾けたり反らしたり、息もピッタリだ。
「よし!」「ありがとうございます!」縛られた沙莉が嬉しそうに礼を言う。
 縛られて下着の中に仕込んだローターで乳首とクリトリスを責められるシーンだ。激しい言葉責めがある。
 久しぶりに沙莉を縛れたせいか嫉妬の赤黒い炎が弱まっていく。心做しか沙莉に赦して貰えた気がした。

 次のシーンはオールヌードでの縛りになるので、脱衣場で二人になって縛ることにした。
 先に沙莉が全裸になり、遅れて入った私が縛る。さっきのシーンの続きのイメージだから、高手小手縛りに股縄を加える。
「おい?前貼りというか紙は?」「せっかく縛って頂けるのに、要らないでしょ。瘤で上手く隠してさい。」沙莉の希望通り、クリトリス、ヴァギナ、アナルに結び目を作った。
強めに締め上げる。「ん、あっ。ハァハァ…。」「大丈夫か?演技出来るか?」「はいっ!大丈夫!何か色々と思い出しちゃって。」沙莉の瞳が淫蕩に濡れ始めている。

 次のシーンには股縄を引っ張られたり、鞭で打たれたりするシーンが急遽加えられた。
「えっ、打つんですか?僕が?」ベテラン俳優の松木がオロオロしている。股縄にも触れて、「ガチガチですよ!これ痛いんじゃないですか?」

 鞭も打ち方にコツがある。九尾鞭は先の15cm位を当てる。ダマが出来ないように左手で先の部分を引き、上から真っ直ぐ当てるのが基本だ。

「うーん?先生、やってくれる?」「私は出演しないですよ!」「腕から先だけとお尻を撮って、後でくっつけよう!」


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