杏奈と健-16
ユラユラとベッドの縁に座った杏奈は、隅々まで僕のペニスに纏わりついたものを舐め取り、綺麗にしてくれた。
「ソレって不味くないの?」
僕が素朴な疑問をぶつけると
「美味しくはないね。でも健のだから。」
そう言ってニッコリと笑った。
愛しいという気持ちしかなかった。
「杏奈。好きだよ。大好きだ。愛してる。」
そんな陳腐な言葉しか口に出来ないもどかしさがそこにあった。
「もどかしいよね。だってそれ以上の言葉なんてないんだもの。でもね。愛してるでいいんだよ。アタシ、健だけをずっと愛していくから。」
まるで僕の心の中を覗いたかのように、杏奈は僕の欲しい言葉をそのまま口にした。
それから杏奈はベッドの縁に膝立ちをし、僕の胸に静かに抱きついた。
軽く抱擁をすると、杏奈は僕の手を取り、ベッドへ横になるように促す。
横になった僕のすぐ横へ杏奈も横になり、僕の肩に頬を寄せる。
ごく自然に僕は腕を出し、腕枕をした。
杏奈は僕の腕枕の上で満ち足りた笑顔を浮かべ、僕の胸に軽くキスをして、静かに目を閉じた。
そしてそのまま眠りについたようだった。
窓から射す光がオレンジに染まり、陽が傾きかけている事を知らせていた。
笑顔を浮かべたまま眠る杏奈の顔を見つめながら、僕もとても満ち足りた気持ちを感じていた。
そして目を閉じると、すうっと眠りに落ちた。