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熱帯魚の躾方
【SM 官能小説】

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映画(一)-2

 シャンパーニュが空き、赤ワインに替わる頃、目つきが変わり本題を話し始めた。血の滴るレアのステーキを赤い唇の奥へと運ぶ姿はエロチックだ。
「ねぇ、調教されるってどんな感じかしら?」「さぁ、私は調教するほうだから、相手の心を想定しながらで…。」「原作を読みました。三回も。んふふ。」「それは、ありがとうございます。」「何かねお腹のあたりから、いえ子宮からなのかな、熱く込み上げてきて。SMってどんな感じなんだろうって、湧いちゃった。」
 この展開ヤバくないか?このレストランが入ってるホテルに部屋取ってあるとか?
「それでね。縛って欲しいの。」何とも妖艶な眼差しで、しがないオッサンの私を見つめている。まさか、比留川結花を縛るのか?
「あと、小説に出てきたみたいな感じで…。」性には奔放だとは聞いているがこんな展開あるのか?結花は最後の一切れを口に運び、グラスの赤ワインを一気に流し込んだ。
「じゃ、行きましょう。デセールはいいわ。」席を立つと結花が左腕を持った。「ちょっと今日は何も…。」「下に車待たせてあるから。」
 ホテルの駐車場に降りると黒いベントレーが目の前に走って来た。結花と後部座席に座る。「今からのことは口外しないでください。」車は高速に乗り、郊外の田舎道を走って行く。
 古い旧家に着いた。結花に促されて中に入る。ここで今から結花を縛るのかと思うと胸の鼓動が上がっていく。
「この梁で吊ったり出来るかしら?この柱に縛りつけたりとか…。」結花は呟きながら、家の中を物色して行く。「ライティングはこちらから自然光があるから…。ねっ、先生。ライトは片方からのほうがいいかしら?」
「えーっと?」「ああ、ごめんなさい!ここでねSMの写真を撮りたいの。『熱帯魚の躾方』をイメージして写真で表現したいの。」ホッと胸を撫で下ろした。そりゃそうだ、そんな展開あるわけ無い。
 SM道具はこちらで揃えるから必要なものを教えて欲しいということと、縄師として撮影に協力して欲しいということだった。この二年間、縄を手にしてはいない。リハビリ代わりに協力することにした。
 撮影モデルはAV女優で私は勿論映らない。

 オーディションの初日は、書類選考のみだったが、百人以上から応募があった。メールで届いたプロフィールを五人ほどのメンバーで情報共有しながら二十人まで絞る。
 無所属の個人、劇団員、舞台俳優、女優、多方面からの応募だ。年代も幅広く十八歳から四十代まで、写真は無加工が条件だが明らかに加工しているのもある。
 はっきり言って書類だけで選考するのは難しいように思う。
 皆がパソコンのモニターを見ながら唸っている。昼過ぎから始めてある程度まとまった頃にはすっかり夜になっていた。
「先生、遅くまですいませんねぇ。」「いえいえ、とんでもない!面接とかって、バイトの子位しかしたことなくて…。」

「先生、この後お時間ございますか?」比留川結花に声をかけられた。「はい?」隣の美羽が怪訝な顔で見つめている。「貴女も一緒にお食事でも如何かしら?」美羽が驚いて動揺している。「えっ?いいんですかぁ?」「勿論よ!一緒に映画作るお仲間でしょ!」結花が軽くウィンクした。
 ビルの玄関に運転手が乗った黒いベントレーが迎えに来ていた。「あの…どちらへ?」美羽が不安そうに質問する。「私の家よ。食事も準備させるからゆっくりしていってね。」

 一時間ほど走って、大きな敷地の門扉の前に着いた。自動で門が開き、車ごと入って行く。
 まるで中世のフランスのような茶色い外観の建物の前に車を着けると運転手が降りてドアを開けた。
 中から扉が開いた。執事のようなスーツを着た女性が挨拶をする。「おかえりなさいませ。」「お腹が空いたわ。食事は?」「あと一時間後に。」「準備が遅いわよ!早めにね!」「申し訳御座いません。」まるで主人と召使いのやり取りだ。
「お風呂は?」「準備出来ております。」結花はやっと微笑んだ。「じゃ、先生はあちらの彼女に付いて行って。鶴賀さんは私と一緒に。」「あの着替えとか…。」「お食事が終わる頃にはクリーニングが終わってるわよ。」

 「いらっしゃいませ。こちらへ。」シンプルなグリーン色のサテンドレスを着た女性に案内された。風呂場も何か所があるようで、私が案内されたのは岩風呂で、獅子の口から絶え間無く湯が出ている。湯船は三畳ほどある。ここにあの大演出家比留川辰夫も入っていたのだろうか?
「あのお温もりになったら、こちらのインターホンを押してください。洗体とマッサージに伺いますので…。」「自分で出来るから大丈夫です!」「させてください!お願いします!結花様に叱られますので。」「したことにすれば?」「ダメです!お願いします!」眼鏡の下の大きな瞳が真剣さを物語っている。
 広い洗い場に置かれたあのマットはその為のものらしい。洗い場に椅子が無いのもそういう理由のようだ。
 そういうつもりは無いのだが、断わるのも彼女に悪いようだ。
「わかりました。じゃ、後で鳴らします。」
 十分ほど浸かってインターホンを鳴らした。「すぐに伺いますからマットの上にうつ伏せに寝てお待ちください。」指示されたようにうつ伏せで待った。脱衣スペースで衣擦れの音がする。「まさか?裸?水着か?」「失礼しまーす。」照明が暗くなった。ドアが開きさっきの女性が入ってきた。「失礼しまーす。」頭の上からタオルをかけられた。「重かったら言ってくださいね。」尻にもタオルがかけられ、女性が跨がって乗った。「ちょ、裸?水着?」「痛かったら言ってくださいね。」女性は何も答えず。ボディソープらしき液体を掌から背中一面、腕から首へと塗り込めていく。
 首から肩、腕へとマッサージしていく。「気持ちいいですかぁ?」「ああ、すごくいい。」背中から腰へとマッサージしている時に右の太腿に独特のぬめっとした感触があった。


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