逆転する関係@-4
拓真は臀部を撫でる指先を、腰へ、背中へとずらして、耳に愛撫を続けながら、布団と由美香の体の隙間に手を差し入れる。
右手も胸に到達すると、両手で胸を捏ねていく。
「ん、んっ、ふ……う」
人差し指と、親指で乳頭を摘み、ふにふにとまだ柔らかなそこを撫でる。
「耳、熱くなってきてる」
「だ、だって恥ずかしい……後輩に、こんな……」
「「後輩に、こんな」? どんなことされて恥ずかしくなってるんですか」
「い、言わせようとしないで」
拓真は由美香の顔を見たくなって、胸元から手を離して、両手首を左手で掴んで、彼女の背中を布団に押し付けた。
腕を挙げさせ、頭の上で手首を押し付けると、由美香は顔を逸らす。
「もう一回言いますけど、俺だって……付き合ってる女性と以外したくないです。でも、瀧岡先生が別れたなら我慢できない」
由美香は、ーー先日の行為の衝撃ばかりが強くて忘れていたが………
拓真から顔を逸らしつつ、再び言われたその言葉の意味を考えようとする。
「翔も、同じ気持ちですよ」
由美香は目を見開いた。
「それ……って」
じっと由美香を見つめる拓真と、視線が重なる。
「ーー分かっても、言わないで下さい。俺らは先生のこと尊敬してるし……なのに、ひどいこと計画して実行したこと、理解してます。ごめんなさい」
「そ、……んな……」
(二人とも……あたしのこと……?!)
「本当に……ごめんなさい」
拓真が泣きそうになりながら言う。
立っている膝に、拓真が手を這わして、ゆっくりと鼠径部の辺りまで動く。
「あ、んんっ」
手の甲が、由美香の汗ばんだ鼠径部を撫でる。
たったそれだけのことなのに、体が跳ねてしまう。
拓真の唇は、由美香の胸元に押し当てられ、舌を伸ばす。
舌先で、その乳頭を弾く。
「あぁ、あっ……だ、だめぇ……っ」
そうしながら、五本の指が、左の太ももや、鼠径部の辺りを念入りに蠢いていく。
「嫌だと思うけど、せめて気持ちよくなって……下さい。相手が俺だと思わなくてもいい」
「あ、あぁ、そ、んなっ……言い方……っ」
自分に好意を伝えることもままならない相手が、職場を去る覚悟までして計画したことは、ーー由美香にはあまりにも残酷だった。
翔のことを思って、翔も拓真のことを思って、こうするしかないと、決意させてしまったのか。
どちらの男も、由美香に嫌われる方に向くしかないようにーーだから、あんなことを計画してしまったのか。
「高橋くん……ごめん……なさい……」
「ーー何で、瀧岡先生が謝るの」
拓真が胸元から唇を離して、顔を上げて尋ねる。
「だ……って……」
手の甲を目の上に当てながら、由美香はぽろぽろと涙を零した。