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先生は僕らの女王様
【教師 官能小説】

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逆転する関係@-2

「かまわないですよ、俺。瀧岡先生にセクハラしてるって、クビになっても」

「何言ってるの」

抱きしめる腕の中で、キャスターの力を使うようにして、くるりと由美香は振り返る。

「ーー冗談でもそんなこと言わないで。怒るよ?!」

「優しいですね、瀧岡先生は」

ふふっと笑うと、拓真は由美香の体から手を離した。

「でも俺は、先生が優しいから付け上がるんですよ。今日一緒に帰りませんか? 先生の家に行きたいです」

突然の発言に、由美香は何も言えなくなる。

今まで、清香や、拓真、翔が自宅に来ることなんて、幾度となくあった。
男性のどちらかと二人きりになったとしても、決してそういう雰囲気になることはなかった。
だが、あんなことがあった今なら。

「ーー先日のことは、翔と、俺と、先生の秘密です」

二人きりになったら、先日のように犯されてしまう。

そう確信した時、美しく、白い拓真の顔が近づき、ゆるいウェーブのかかった由美香の毛先に手が触れる。

夏だと言うのに、ぞくりと背筋が凍りついた。


*


「急に来るとか言うから……部屋、片付いてないからね?」

「いえ、俺が急に言ったんで」

最寄り駅近くのスーパーで、酒や惣菜などを適当に選び、拓真が会計を済ませる。

由美香の自宅は、古い団地がリノベーションされた賃貸の物件だ。
玄関を入って廊下の右手にトイレ、バスルームがあり、部屋に続くドアを開けるとダイニングキッチンとなっている。
真正面は一面窓で、左手の壁にはシンクやコンロ、冷蔵庫などが並び、ダイニングキッチンの真ん中にはテーブルが置いてあり、対面で丸椅子が並ぶ。
キッチンの床は昔懐かしいタイル風の模様だ。

キッチンに続く右手の一部屋は、襖がはずしてあり、和室が広がる。
右手奥にはベッドが縦に置かれている。

「ビールでも飲んでて? ちょっと着替えてきちゃう」

拓真を椅子に座らせて、由美香はドアの向こうへと向かった。
着替えると言いつつ、この夏の暑さで汗だくだった由美香はバスルームで服を脱ぎ、髪の毛を濡らさないようにくくると、シャワーの水を出す。
体が火照ったままで、汗が止まらず、体に浴びるには冷たい水で十分なほどだった。
濃い茶色の、ノースリーブのマキシワンピースの部屋着で現れ、由美香はどきどきしながらも、拓真の前に座る。

空いたグラスにビールを注がれたのち、カチンと音を立てて二人のグラスを合わせた。
火照った体にはビールが美味しい。
だがーー目の前にいる拓真のせいで、自宅だと言うのに、緊張してしまう。

「いつも、何時に出勤してるんだっけ? 大丈夫なの」

由美香は比較的都心に位置した場所に住んでいるのに対して、拓真の自宅は高校から数駅離れた場所だ。
由美香は何を話していいかわからず、今日の帰りの心配をする振りを装った。

「明日、有給取ってるんです。特に理由ないですけど、明日は忙しくなさそうだったんで」

「そう」

今まで通りに会話ができず、取り留めもない話で、不思議な空気感のまま時間が過ぎていく。


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