星彩 ……… 第二の物語-8
「いい体をしているじゃありませんか。まだまだあそこもいけるんでしょう。ほら、もうこんなに濡れていますよ。欲しくて、欲しくてたまらないってあなたのあそこが言っているみたいです」
老人がわたしの耳元で卑猥につぶやくだけで早くも苛められる苦痛の甘い予感に浸りはじめ、溶け出した自分の中の女が止まらなかった。そんなわたしを楽しむように老人のひょろりとした指はわたしの火照りを焦らすように肉洞を掻き毟り、いやらしく羞恥を煽る。
指の動きが烈しくなると、わたしは我を忘れたように身悶えする。収縮と痙攣が始まろうとする寸前で彼は指を抜く。何度も彼はそれを繰り返すことで、焦らし、わたしの体の火照りを高めていく。熱を増していく女の肉体が止められない高揚に堕ちていくことを知り尽くしているかのように老人はわたしを執拗にもてあそぶ。
わたしは、自分が自分を止められない年齢の体なっていることを嫌でも知らされた……。
ヒッ、ヒッという顎をしゃくるような老翁の薄笑いが聞こえてくる。
老人はわたしの中で抜き差しした指をわたしの目の前に晒した。
「たっぷりとすくい取ることができました。よく濡れていますよ。とてもいい匂いがするあなたの蜜汁です」老人はそう言うと、その指を紫色の乾いた唇に含み、指をよじりながらしゃぶる。皺が刻まれた咽喉が淫猥に蠢くと、わたしは悪寒のような戦慄を背中に感じた。
蜂蜜色のねっとりとした重い灯りが指を咥えた老人の皺枯れた顔肌とわたしの縛られた体を包み込んでいる。灯りはいやらしいほど明るかった。いや、わたしの年齢の女が肌を晒すのにはあまりに残酷で、まるで光に鋭い棘(いばら)を含んでいたように感じられた。灯りには庭の苔と繁った樹木の葉の匂いを踏んでいる。それは湿り気のある、甘酸っぱい遠い記憶の匂いだった。
ふと思う……自分はいったいどんな蜜の匂いを持っていたのだろうかと。そしてサディストの男や死んだ夫は、どんな匂いを私の体から嗅ぎ取ったのだろうかと。
老人はベッドの上で私の体を骨っぽい掌で包み込むようにしてうつ伏せにする。
「お尻をあげて脚を開いてください」
撫でるような声はまるで催眠術師のようにわたしの体を操る。わたしはさらに無防備に剥がされていくような体に火照りを感じながら、頬をベッドのシーツに押しつけるようにしてお尻だけを高々と持ちあげ、脚を開く。
老人の視線が背後から忍び寄ってくる。生暖かい沼底を這うような手がわたしのお尻の肌に触れた。指がお尻の輪郭をなぞり、双臀の切れ目を押し広げるように忍び込んでくると、その指先が尻蕾におぞましく触れた。そのときわたしは自分がどんな姿を老人に晒しているのか、はっと気がつく。わたしはぶるっと下半身を震わせ、顔を上げ、のけ反った。