星彩 ……… 第二の物語-7
ガラス窓の向こうで途切れることなく雨は降り続いていた、雨音はベッドの上のわたしと老人を覗き込むように部屋に漂い、水滴となってわたしの体の中にしたたり落ちてくる。
「あなたもずっとひとり身では、たまには男が欲しくなるでしょう」
そう言いながら老人は狡猾に眼を光らせ、息を荒げて厚ぼったい唇をわたしの首筋に這わせ、縛った乳房を掌で鷲づかみにして揉み、乳首のまわりを尖った指爪で卑猥に弄った。わたしは遠く忘れていた自分の中の女をえぐられたみたいで背筋に冷たい雨滴が流れるような悪寒を感じた。
縛られたわたしの肌を執拗に撫であげる老人の指と唇は交互に混ざりながら臍のまわりを旋回し、波打ち始めた余分な肌肉をよじりながら下腹部へと向かう。
わたしはすでに体の中心をゆるませていた。縄で縛られることでわたしの体はとても敏感になる。そのことを老人の指は嫌でも知らしめる。老人の愛撫は、巧みにわたしの肉奥から心の襞の隅々まで疼かせ、くすぐり、甘美に溺れさせようとする。
老人はわたしの太腿のあいだの湿り気を唇で吸い取ろうとする。
「あたしをあなたがとても欲しがっているのがよくわかります。もうこんなに濡れているじゃありませんか、それにあそこからとてもいい匂いがします」
老人は薄い笑みを浮かべた。そして、長く、細く、骸骨の指のように角張った人差し指と中指を股間に滑り込ませ、肉の割れ目をまさぐるように忍ばせていく。
貝肉のようにゆるんだ陰唇がひとりでに蠢き、老人の指を咥え、のみ込んでいく。指は根元までわたしの中心を貫き、伸び切り、突き立てられ、まるで子宮にまで突き刺さるかのように深く侵入してくる。
ああっ…………うう、うっ……ううん……………
柔らかさのない、冷たく凍った骨のような細い指なのに、わたしの中心はすき間なく充たされている。どうしてそう感じたのかわからなかった。知らないあいだにわたしの体は独り歩きを始め、わたしを《そういう女》に導こうとしているようだった。なぜか戸惑いも、怯えもなかった。わたしの体はいつのまにか老人の指をもっともっと欲しがっていた。
あっ、あっ………あうっ………
嗚咽が唾液のように込みあげてくる。胸を縛った縄と体が軋み、肉襞は自分勝手に喘ぎ、老人の指を砕いてしまうくらい絞めつけ、小刻みな収縮を繰り返す。嗚咽から滲み出した唾液が唇の端から糸を引くようにしたたる。底知れない深みを肉洞の奥に感じた。尽き果て、崩れていきそうな危うい快感が痺れるように身体の隅々まで伝わっていく。