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アンソロジー(三つの物語)
【SM 官能小説】

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星彩 ……… 第二の物語-17


体の奥に息を殺してうずくまっていたものが熱蝋のように溶け出し、遠いところから自分の体が戻ってきたような感覚だった。こんな醜い老いた男でもわたしは肉欲として彼を受け入れていることが不思議に思えた。
老人の肉茎はわたしの肉襞の体温に熱せられるようにさらに堅く、長くなり、炙られた鋼の棒のように肉奥へ深く突き刺さり、子宮さえ蝕もうとしている。
彼は縛られたわたしの体を膝の上で強く抱きしめた。縄はまるで彼の腕と同化したようにわたしの肌肉に喰い込み、彼のものを含んだ肉奥がぎゅっと絞まる。
「まだまだ、あたしのものもまんざらではないでしょう」と言いながら、老人はわたしの唇を貪り、腰を強く押し上げてくる。
老人の骨の関節が軋む音とぴちゃぴちゃと粘膜から雫が撥ねるような音だけが重なり合ったふたりの下半身から意味のない雨音のように響き、わたしの深い肉奥を深く突き上げてくる。
老人の肉塊で埋められた肉洞が、突き上げるものによって擦(かす)れた嗚咽を垂れ流す。肉幹は、まるで大樹の根元にはりついた苔のような包皮を淫らに擦らせ、物憂くわたしを侵していく。
「ほら、あたしたちの睦ましい姿があの鏡に映っていますよ。よく見てください。あなたの体があたしのものでどんなに悦んでいることか、あなたにも分かるはずです」
老人はわたしの耳たぶを唇で噛むように耳元で囁いた。
漆喰の壁に埋め込まれた木枠の大きな鏡は、わたしでない姿を映し出していた。そこには四十九歳になった女のふくよかすぎる淫らな裸体があり、縛られた乳房を揺すり、老人の膝の上に白い腿をむき出しにして跨り、のけ反り、喘いでいた。

ああっ………あうっ…………

老人が腰を突き上げた。ざらざらとした堅い骨のようなものが肉洞の奥に深く突き刺さり、貫き、肉襞を烈しく裂いていく。
「あなたの中がとても熱くなって、あたしのものを締めつけていますよ」そう言った老人は鼻息を荒げ、彼の腰の蠕動はもっと烈しくなる。

うっ……ああっ……ううっ…………

老人の膝に抱きかかえられたわたしの肉奥が弛緩(しかん)と収縮を小刻みに繰り返していた。それはわたしの心の中にぼっかりと空いた穴の中で勝手に蠢いているわたしとは違った、別の情欲のようにさえ思えた。
肋骨の浮いた老人のざらついた胸がわたしの縛られた乳房と重なり、乳首が押しつぶされるように捏(こ)ねられる。老人の骨が擦れる音と荒い呼吸が泡のようになってわたしの体に滲み入ってくる。老人の体液がわたしの体の窪みや毛穴を透して血管に浸み込み、血流となって全身に広がっていく。やがて泡立った血流はわたしの肉体を充血させ、膿ませ、失速するように痺れさせる。

あっ、あっ、うぶっ……………

ひとりでに高揚していく自分の体をわたしはどうしようも抑えることができなかった。恍惚とした虚脱感がわたしの肉体を引き裂いていく。肉が蝕まれるその感覚は、わたしの髪の毛の先や指先や脚の爪先、そして体のあらゆる突起と窪みに充ちわたり、閉ざされたものを開き、汚し、虐げ、息を止めようとする。それは苦痛ではなく、わたしの中にわだかまった膿をもっと濃くしていくようにさえ思えた。こんな醜い老人の身体でもわたしは自分の中に溜まっていたものを吐き出せる、そういう歳の女になったことをわたしは嫌でも感じさせられる。



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