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アンソロジー(三つの物語)
【SM 官能小説】

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星彩 ……… 第二の物語-12

 いつものように老人はわたしを器用に縛る。老人の縄を操る指の気配は、干涸(ひから)びた骨のようでもあり、澱んだ体液を滲ませた肉塊であり、それは老人の粘着質の情欲にも感じられる。それをわたしはいつのまにか無意識に体に馴染ませていた。
 縛られたわたしは老人の前に跪く。目の前で老人は自らの着物を脱ぎ、赤い褌(ふんどし)を解いた。老いた肉が剥がれ、すり切れた被膜に包まれたような醜悪な肉体だった。わたしを弄っていたひょろりとした指に繋がっているのは、骨がカラカラと軋みそうな角張った関節とあばら骨が浮き上がった、痩せて貧相な肉体だったが、肉が削げ、窪んだ下腹の中心には湿った肉太の醜い塊りが腐肉のように垂れていた。

「昔はこれで女を悦ばせたものですよ。ここだけはまだまだ立派だと思いませんか。あなたのその唇で舐めてください。初めてじゃないでしょう、男のものをしゃぶるのは」
そう言って老人は黒々としたものの先端をわたしの鼻先に突き出した。
一瞬、眼を背けたくなるような醜いペニスだった。ほころびて色褪せ、死にかけた菌糸のような灰墨色の陰毛に包まれている肉塊は、まるで痩せた老人の股間に赤黒い爬虫類が生きたまま炙られた死骸のようにまとわりついていた。
しなだれた浅黒い肉幹には無数の皺の輪が刻まれ、奇妙に節くれだち、蒼黒い血管が浮き出ている。薄皮が弾けた亀頭は腐りかけたゆで卵のような淫靡な光沢に覆われ、深い溝が刻まれたえらは奇怪にねじれていたが、なぜか甘い匂いを漂わせ、それが皮膚に染みついた精液の匂いだと気がつく。
それは老人の指とはあまりにかけ離れた異物だった。醜悪な老人のものを目の前にしたわたしが躊躇していると、彼はわたしの頭髪を両手で包むようにして彼の股間に引き寄せ、唇の先端に亀頭の先端を押しつける。
「咥えるのです、あたしのものを。そのかわいい唇で……」
老人はわたしの顔じっと見て薄笑いを浮かべた。



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