尊大な男 2-1
「――どうぞごゆっくりおくつろぎください。それでは失礼いたします……」
床に手を着きうやうやしく頭を下げると、仲居は静かに襖を閉めて立ち去った。
「なかなかいい部屋じゃないか。見ろ、立派な露天風呂付きだぞ」
荷物を胸に抱いたまま立ち尽くしているユリを振り返り、校長はニヤリと笑みを浮かべる。
「この週末はここでゆっくり羽を伸ばすとしよう。……夕食までまだ時間があるな、まずは一風呂浴びるか」
職員旅行の下見に行くから同行するように、と校長から命じられたのは昨晩遅くのことだ。職員旅行があるとは初耳だったし、前日の夜に突然電話で命じられることなど普通はありえない。下見とは名ばかりなのは分かりきっていたが、校長が持っている写真のことを思えば当然拒めるはずもなかった。
乱雑に脱ぎ捨てられた衣服をハンガーに掛けてから、ユリは沈んだ気分で広縁の椅子に腰掛けた。襖が閉まる間際の仲居の顔が思い出される。単なる思い込みかもしれないが、どことなく含みのある目つきをしていたような気がした。齢の離れた不倫カップルとでも思われたのだろうか。
ぼんやりしていると、外からユリを呼ぶ声がする。
「おい、何をしてる」
ユリは慌てて男物の浴衣を手に取り、露天風呂へ向かった。
「申し訳ありません、着替えならここに……」
「浴衣はその辺に置いていい。お前も風呂に入れ」
大きな岩風呂に身を沈め、校長はニヤつきながらユリを見上げていた。裸をなるべく見ずに済むよう、ユリは俯く。
「い、いえ、まだ荷物もそのままですし、私は後で大浴場に……」
「荷物なんて後でいいだろう。ほれ、早くしないか」
せめて入浴の時くらいは校長の目の届かない場所へ行きたかったのに、校長は片時もユリを自由にする気がないようだった。
「返事はどうした」
「わかりました……先にタオルと浴衣を取ってきます……」
髪をまとめバスタオルに身を包んだユリを舐めるように眺め、校長は下卑た笑みを浮かべた。
「なんだ、タオルのままで風呂に入る気か? ……まあいい、早く入れ」
「はい……」
タオルがはだけないようにそろそろとお湯に浸かると、校長がユリの手首を掴み引き寄せる。
「もっとこっちに来い」
肩を抱かれ、まるで寄り添っているような格好だ。さざめくお湯の中に鎌首をもたげる校長のペニスが見え、ユリは咄嗟に目をそらした。
「悪くない宿だが、まあ急いで決めなくともゆっくり視察すればいい。二泊で予約してあるからな。時間はたっぷりある……」
その言葉に軽い眩暈を感じてユリは目を閉じる。これから三日間も奴隷のように過ごさなければならないのだと思うと、全身の力が急速に失われていくようだった。
「どうした、しなだれかかってきおって。いつまでもタオルなんか巻いてるからのぼせたんじゃないのか?」
「そういうわけじゃ……あっ……!」
強引にタオルをはがされ慌てて胸を覆い隠すユリの手を、校長は自分の股間へ導く。握らされたそれは硬く立ち上がり、手の中で獰猛に脈打った。
「ほれ、お前を何度もイカせたちんぽをしっかり握れ。今夜もこれでお前のマンコをじっくり指導してやるからな……」
耳元で囁きながら、校長はユリの背後から片腕を回して胸を鷲掴みにした。
「相変わらず男を誘う体つきをしおって」
乳首が摘まれ、クリッと捏ねられる。
「んんっ……!」
ユリは唇を結んで声を堪えた。大声を出したら他の宿泊客に聞こえてしまうかもしれない。
「お前は乳首を捏ねられるのが好きだろう? ほれ、こうか? 気持ちいいか?」
指の間で転がされ、乳首はあっという間に硬く尖っていく。
「んっ……んっ……ぁ……!」
「ちょっといじっただけでとろけた顔をしおって。ぼーっとしてないでしっかり握って動かさんか」
「申し訳……んっ……ありませ……っ」
ユリは乳首への刺激に耐えながらぎこちなく手を上下させたが、止まることのない愛撫にいつしか意識を奪われ、今や握っているだけでやっとの状態になってしまっていた。そんなユリを見て校長は手を止める。
「ワシの前に立て」
「え……でも……」
「口答えするな。これからはワシに反抗的な態度をとるのは許さんぞ。反抗したらどうなるか分かるな?」
抗えばあの写真を公にされ、ユリは職場を追われることになるだろう。
「わ、わかりました……申し訳ありませんでした……」
腕で身体を隠しながら立ち上がる。
「手を下ろさんか」
「はい……」
校長の眼前に一糸まとわぬ姿を晒すと、校長は満足そうに目を細めた。
「脚を開け」
おずおずと両脚を開くと、校長がその隙間に上半身を捻じ込む。両腕で太腿を抱え込まれ、強引に開かれる。
「しっかり立ってろ。分かったか?」
「はい……」
校長はユリの股間に顔をうずめ、突き出された舌が割れ目を撫でる。