崩れた均衡①二人の男からの愛撫-5
だが、そんな理性的な思考が働いたのはたった一瞬だった。
翔は由美香の後ろに回る体勢を取ると、その体を引き寄せ、抱きしめる。
「もう、我慢できません……」
左手で腹の辺りを抱えながら、強引にハーフパンツの中に右手を侵入させようとする。
抵抗するより先に、由美香は両手で口を押さえた。
考えるより先に、がちん、と奥歯が鳴る。由美香は自身の奥歯が欠けてしまうかと思った。
下着を汚す、とろとろとした体液。
翔の中指と薬指が、強引に体液にまみれたソコに食い込む。
「ん、んんっ」
由美香は口を押さえ、目をぎゅぅうっと瞑り、耐える。
キスや、胸への愛撫が、愛しい男からなされるものと勘違いした体は、その刺激を欲しがっていたらしかった。
強引な左手とは裏腹に、右手の指先は優しくソコをなぞるだけだった。
「瀧岡先生………………」
静かな室内に、二人の吐息が木霊している。
由美香が瞼を開ければ、右には清香が、左には拓真が眠っている。
その光景を信じたくないがゆえに、由美香は目を瞑ることしかできなかった。
くちゅん、くちゅ……と粘着質な音が聞こえてくる。
縦になぞる指先は、意を決したように、陰核を捉え、ゆっくりと円を描いていく。
「ん……は、ぁ……っ」
腹を抱えていた手は、太ももをなぞり、さらには太ももを抱えるようにして開かせていく。
「恥ず……かし……ぃ、や……だ……」
ふるふると震えながら、由美香は訴える。
「瀧岡先生の……ぬるぬる……」
左の耳元で囁かれる声に、思わず体がびくん、と反応する。
こりこりと、陰核が固く、腫れ上がっているのが由美香には分かる。
「ここ、一人で……シてたんでしょう……？」
「言っ……ちゃ、やだ……っ」
真面目な由美香は、交際した男以外にソコを触れられるのは初めてだった。
「そ……そ……んな、に……しな……いで……ぇ、お願い……っ」
抵抗の声を聞いて、翔は太ももを抱えていた手をまた腹の辺りに滑らせると、布をまくり上げ、Tシャツの中に侵入させる。
不器用にも左手が由美香の右胸に到達し、固くしこった胸の頂きを優しく摘む。
ふにふにと優しく摘みながら、由美香が口元を手で押さえ、大きな声を上げないのをいいことに、右手の指先はソコに優しく円を描き続ける。
ぞくぞくっ、と由美香の腰に寒気が走る感覚に、上顎を上げて耐える。
「堀尾く……これ、いじょ……ぉ、は……だ、め……っ」
持続的にソコに円を描かれ、頭の奥は、腹の奥は、男性に与えられる刺激を求めていると錯覚してしまう。
「………いくの……？」
優しく囁かれた瞬間だった。
ばちん、と頭の中で音が鳴った気がして、ぎゅぅうっと閉じた瞼の裏が明滅する。
必死に口元を手で押さえつつ、大きく上顎を上げて、翔に体重を預けるような体勢になり、体を大きく震わす。
「ん……っ、んん……っ！！！」