おもてなし-9
10月も 2週目に入り 森の出張もなく
麻衣は 土曜日曜は 森の体を受け入れ
揺らいだ心のまま 毎日を過ごしていた
土曜日
森の腕で荒い息を 整えている時
「 麻衣に 渡す物が有ったんだ 」
森が立ち上がり 部屋の隅から 大きな紙袋を
麻衣に渡して来る 起き上がった麻衣は受け取り
袋の中の包装紙を開けて 目を丸くした
「 浩一さん これ!! 」
有名ブランドのバックを見て 森を見ると首を振った
「 昨日宅配が会社に届いて 直ぐに社長から電話が
有って 言付けられた 」
「 土曜日のお礼で 麻衣に渡して欲しい 」
麻衣はバックを手に持ち 森を見ると頷いて
「 貰っておきな 」
社長が私に言って来た
「 あの日 常務が金を皆から集めて渡そうと
言い出したそうだ 久我常務 目のギョロっとした常務が
止めたそうなんだ 川田さんが 体を売った事に成って
彼女が傷つくから 失礼だから辞めろと
社長は 都内の百貨店の買い物カードを
お買い物をそれで 出来るのを渡そうと言い出して
それも 久我さんは止めたと そんなカードを
貰っても 川田さんは使わないから それに
そのカードを見る度に 小汚い爺の顔浮かべて
嫌な思いをするだけだから 少し時間くれと言って
女子社員から 人気のバックを聞いて購入したそうだ
3人の気持ちだから 受け取って欲しい
そう言ってきた 」
「 それから 楽しい時間を作ってくれたのを
3人が 感謝していると伝えて欲しいと 」
「 昨日の電話で言われた 」
麻衣はギョロ目の 常務の顔を思い浮かべ
タオルを首に掛け 声を掛けて来た 優しい眼差しを
思い出してバックを そっと袋に入れて 頷いた
薄暗いベッドの上で 森の腕に頭を乗せ
森が麻衣を見て
「 来週の土曜 また 爺さん達の接待!! 」
麻衣を覗くようにして 言ってきた
「 またですか 」
見上げた麻衣が答え 頷く
「 少し早く出たいから 9時半に来てくれ 」
麻衣は森の胸に顔を乗せて 頷いていた
土曜日
慌ただしく準備を終え ドレッサーで化粧をして
ソファーから見つめる拓哉に 抱き着いて
「 行ってきます 」
耳元で囁き 走る様に電車に飛び乗って
森のマンションへ着くと 森は玄関を開け
そのまま エレベーターで地下の駐車場に止めた
車に乗り込み走りだして 駅前で車を止めた
森の車を見て 30前半の少し大柄な女性が
後部ドアを開け 乗り込むと車は 走りだす
森が怪訝な顔をする麻衣に
「 相馬さん 川田さん 」
二人を紹介して 柔らかな声で女性が
「 川田さん お名前は? 」
「 麻衣と言います 」
「 私は 相馬久美子 宜しく 」
「 奇麗な方ね 森さん離さないでしょう 」
麻衣は どう答えようか 戸惑い 会話もなく
夕方 温泉旅館の中へと入って行った
ビールを傾けている森に 由美子が
「 何時もと同じ時間? 」
森が頷くと 麻衣を連れ 大浴場に 向かい
着ていた浴衣を脱いでいく プロポーションの良い
裸が現れ Dカップの胸が揺れ 無毛の股間に
やや浅黒い縦の筋を見せ 浴場へと入って行った
二人で湯につかっている時に 久美子が申し訳なさそうに
「 ゴメンナサイ 」
麻衣は 久美子が何に謝って来るのかと
顔を見つけると 悲しそうな顔で
・・・・・・・・・
私の 私達夫婦の所為なの 夫が4年前に 2億のミスをして
( 麻衣が驚いて顔を見ると 久美子は首を振り )
主人が言ってたの 自分のミスだと 森に相談して
森が動いてくれて 色々操作して 無くしてくれたの
その時 私35歳だった 今 39歳のおばさんよ
森に体を差し出したわ 最初は 近くの温泉で
それから 月に1度呼び出されて 毎回抱かれて
半年したら 接待要員で 色々な会社の社長達に
抱かれるように成ったの それで味を占めたのね
次の年に 営業課長に抜擢した井上さんに 対馬さんの
会社の契約書をミスさせて 弥生さんを篭絡して
去年も 和島さんを同じように対馬の処でミスさせて
彩さん抱いて 彩さん9月に死んだわ ご主人も会社辞めて
私の主人 3年前に宮崎の営業所 帰って来るの
お正月とお盆だけ 井上さんのご主人は島根の営業所に
居るの だから井上さんと私は 社長達への捧げものに
・・・・生贄なのね 私達・・・・
麻衣の目に 怒りが浮かんだのを見て
久美子が 諦めた様に 諭してきた
「 無理よ!! 契約書が有るから 」
「 幾ら 図り事と言っても 契約書は向こうに
有るんだから 森はまだ 生贄作るつもりよ 」
吐き出すように言うと 麻衣を哀れみの目で
悲しみと 諦めを浮かべ見つめて来た