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甘い調教  「躾けられた三つの穴」
【調教 官能小説】

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別れ NTR-4

 
 その夜から私は熱を出して、バイトも休み二日間をほとんどベッドで過ごしました。
 実を言うと体温計は使っていないので、実際に何度熱が出ていたのかは定かでは在りませんが、身体中の痛みと全身を倦怠感に侵されて、高熱が出た時の症状と同じだったのです。
 そのおかげと言うのも何ですが、私はおじさまの事を殆ど考える間も無く、眠り続けたのです。夢にうなされる事はあっても、覚えていないか、まったく意味不明の夢で、おじさまは夢にすら現れませんでした。

 私の体調が戻りかけた三日目の夜、おじさまからラインが届きました。

「琴。元気だろうか? 君はこのメールを読んでくれるのだろうか? 君を傷つけてしまった事に関しては何の言い訳も出来ない。全て僕の判断が間違っていたと思っている。
 ただ、最後の日の選択だけは、間違いでは無かったのでは無いかとも思っている。結果的に二人は傷付き、痛みを覚えたが、元来別れとはそう言う物だ。痛みの無い別れなど無い。僕たちはその痛みよって、自分の未練に踏ん切りを付けられたのでは無いだろうか。

 僕は今、沖縄に居る。目黒のマンションは引き払った。こちらに定住する住居が見つかり次第住民票も移して、僕は残りの人生をこちらで過ごすつもりだ。
 こちらで生活を切り詰めながら、長年の夢であった執筆活動に挑んで見ようと思っている。君と過ごした夏の思い出は、何にも代えられない僕の宝物となった。いつか、心の整理が付いた時、君を題材にした小説も書きたいと思っている。

 琴。君がこれからの人生を、大らかに明るく楽しみながら生きていける事を心から願っている。
 このラインのIDは今日を限りに捨てようと思っている。さようなら。琴」


 私はそれを読み終えると、直ぐにラインのトークルームを削除しました。

 私はノートを取り出して、おじさまへの返事を書きました。

「ズルい人。本当にズルい人。独りで勝手に決めて、一人で勝手に反省して、一人で勝手に納得して。私を獣の様に串刺しにして丸焼きにして、間違いでは無かった? 
 他の方法が無かったかどうか、二人の傷を最小限にする他の道は無かったとどうして言い切れるのでしょうか? 
 その癖、私がこの先どうすべきかに付いては、何も話してくれないのですか? 相談する機会さえくれずに。消えてしまうのですか? 
 あんな物は躾ではありません。躾とはもっと厳格な物で在るべきです。あれは唯の調教です。貴方の嫌った調教でしか在りませんでした。

 何が『いつか、心の整理が付いた時』でしょう。私は書きます。
 今すぐに、この傷口が大きく口を開いて、焼けつく様な痛みを伴い、鮮血が滲んでいる今、この時から書き始めます。
 貴方とのひと夏の激しい体験を書きます。私の心も、体も、私を全く別の動物に変えてしまった、貴方の甘い調教の話を」


 私はそれを書き終えると、一読してから、ノートのページを引き千切り、キッチンに持って行って、その紙に火を付けると、流し台に投げ込みました。

 その紙は勢いよく燃え上がり、瞬く間に燃え尽きてしまいました。
 私は蛇口を捻って水を出し、手に掬い取った水を、タラタラとそれに滴らせました。その燃え止しからは、白い煙が立ち上り、いつまでも燻り続けました。

 そしてその煙からは、あの男の煙草の匂い、  いえ、父の煙草の匂いがしました。

                                     
                                    続く 
  


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