秘書の仕事~忘れ物を届けに-9
「またいつでも相手してあげるよ。」
到着駅に着いた冴子はその言葉を背にふらふらと電車から降りた。
周りの人は驚いただろう。駅のホームに乱れた衣服に身を包む、精液にまみれた若い女が立っているのだから。
駅員がこちらに向かってくるのが見えて、冴子は急いでその場を離れ人気の無いトイレへ駆け込んだ。
トイレの中にある洗面所の鏡に映る自分の姿を見る。
乱れた髪、はだけたシャツ、そして桜色に染まった肌にふやけた顔。冴子は自分があの一時を心から喜んでいたことを再認識した。
とにかくこのままでは出歩けない。冴子は衣服を整え、ボディシートで体を拭き、できる限り不自然の無いよう身を整えた。そして化粧を直そうとしたところ、突然スマホが鳴った。
「もしもし…」
『よう、随分楽しんだみたいだな。』
「あれ書き込んだの…岡野さんですよね?どうしてあんなことを…」
『違うことをしてやるって言っただろ?お前みたいな変態が喜ぶことを考えてやったんだよ。』
冴子は何も言えなかった。
最初こそ抵抗はしたがそのあとはされるがまはまとなり、喜んで受け入れた。
『出社はできないだろうし、適当に誤魔化してやるから今日はもう帰れ。夜も来なくていいからな。』
こちらが返事をする間もなくスマホは切られた。
そしてすぐに通知音が鳴り、確認するとそれは岡野からでURLが送られていた。それを開くと掲示板の画面が表示された。
岡野が冴子を装った書き込み。それを更に見ていくと、写真が投稿されている。拡大してみると、それは先ほどの電車内で撮られた冴子の写真だった。