秘書の仕事~忘れ物を届けに-3
『何よ、これ…』
もちろんこんな書き込みをした覚えはない。だがそこにはたしかに冴子の特徴と持ち物、乗り込む電車まで書かれていた。
この情報を知っているのは一人しかいない…
「わたし…書いていません。知人がふざけて書いたんです。」
「怖じ気付いた?ダメだよ、今さらそんなこと言っても。」
「本当なんです…やめてください。お願いします…」
「嫌がってもやめないでください、だろ?Sちゃんはそういうプレイが好きなのかな?」
男の手の動きは更に早くなり、冴子の耳元には男の興奮した息遣いが聞こえてくる。男は言うことを信じてくれそうにない、とにかく次の駅に着いたらすぐに降りよう。それまでの辛抱だ。冴子は唇を噛みしめ、必死に耐えていた。
冴子が大人しくなったことをいいことに、男の行動はエスカレートしていった。今度はストッキングとパンティを少し降ろし、直接触れてきたのだった。
「Sちゃんのお尻、すべすべだね。ずっと触っていたいよ。」
「あッ…」
甘い声が漏れ、冴子は慌てて口を押さえた。
痴漢されて感じてしまうなんて…冴子は恥ずかしくて情けなくて涙がでそうだった。
『次は、Q駅ーQ駅ー』
そのとき、電車のアナウンスが聞こえた。
もう次の駅に着く。早く、早く逃げないと。
駅に到着し、扉が開いた瞬間男の手を振りほどき、電車から飛び出した…が、人とぶつかってしまい尻餅をついてしまった。