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熱帯魚の躾方
【SM 官能小説】

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沖縄旅行(二)-1

 リリリン♪リリリン♪沙莉のスマホが鳴る。「ごめんなさい!音消すの忘れてた。もう、休み中はかけないでって言ったのに…。」ちょっとご機嫌ナナメのまま電話に出る。「はいっ、中山です!」「沙莉ちゃん!大変よぉ!」「大変って、何ですかぁ?」「Canelからオファーが来てるのよ!」沙莉のマネージャーだろうか、アラフォー世代の女性の声が響く。「どこかの雑誌?」「違うわよ!あのフランスのCanelよ!」「えっー?」沙莉の声が裏返る。
「私、何もアプローチとかしてませんよ!」「英語がわかる娘に代わって聞いて貰ったら、
 Canel専属モデルの話だって!」「日本版の?」「違うわよ!Canelのトップモデルとしてパリコレとかのランウェイに立つの!」「えっー、うっそぉー!冗談でしょー!ドッキリとか?」「違うわよ!ほんとなの!メールも来てるからスマホに送るから、よく読んでから返事してね!」
「御主人様!どうしよう!大変なことになっちゃった!日本人女性というか東洋人で初めてだって!」「おめでとう!やったね!ビッグチャンスだ!」
「オーディションを受けて、関係者のOKが貰えたらまずは二年間の契約がしたいって書いてある。でも…。」
「でも?」「御主人様のそばから離れたくない!」「私の元から巣立つ時が来たんだ!迷わず行きなさい!」「嫌っ、それは嫌!」「沙莉、お前は普通の女性がどんなに頑張っても届かないチャンスを掴んだんだ!全ての女性の憧れになり、夢と希望を与えられる仕事が出来るんだ!二年間なんてあっという間だ!」
「でも…。」「今まで、寝る時間も惜しんで、食べたい物も食べず、トレーニングまでしたのは何のためだ!夢を掴むんだ!夢を放棄するような沙莉なら俺は要らない!」
「二年間頑張って帰って来たらまた会ってくれますか?」「その二年間でお互いが必要がどうか答も出るだろう。お互いがまだ必要だったらまた始めればいい。」
 
「ちゃんと御主人様の元に帰って来ます!」「うん、ありがとう。でも、お前はまだ若い。これからどんな人生が待っているかはわからない。お互いの為に約束はしないでおこう。お互いが必要としたら運命の糸はまた交わる。」
「はい。御主人様。」

 沙莉はスマホで先方へのメールを返した。

「今日もいい天気みたいだ。朝御飯食べたら海に行こうか?」「昨日の水着は許してくださいね。」「今日もあれで。」「やだぁ!」「じゃ、ピンク色のがいいな。」「はい。お魚見たいなぁ。」「うん、スノーケリングセットがあったから借りて行こう。ライフジャケットもあるし。」「じゃ、午前中は海ですね。お昼御飯は?」「おしゃれなアジアンカフェがあるよ。ここでどう?」「うわぁ、素敵!雑貨も見たいなぁ。」「後は絶景ドライブかな。晩御飯は食材を買い込んで作ろうか?」「はい。それも楽しそう!」

 この島からさらに三つの島に橋で繋がっているのだが、この橋が全部絶景ポイントとなる。まずは一番北の池間島へ繋がる橋を渡る。「うわぁ〜!すごい!めちゃくちゃきれい!」助手席の沙莉がカメラのシャッターを切る。橋の一番高いところの停車スペースに車を停めた。見渡す限りエメラルドグリーンの海が広がる。
 沙莉がはしゃいで写真を撮りまくる。スマホを自撮り棒にセットしてツーショットも何枚も撮った。
 北の島に渡り周回する道路を左折して走ると白い灯台が見える。それを越えると右手のサトウキビ畑の中に五台ほど停められそうな駐車場スペースが現れる。メッシュバッグを抱えて、ロープが張られているちょっとした崖を降る。
 砂利と砂が混在したビーチがあり、右手の岩場を越えると洞窟のようにえぐれたスペースがある。
「こんなとこ、どうやって見つけたの?」白いサーフブランドのTシャツを脱ぎながら、沙莉が問う。「宿を予約する時にね。何箇所か人目につかないビーチを教えて貰ったんだ。有名なビーチだと沙莉は目立ち過ぎちゃうからね。」「えーっと、これ、どうやって着けるのかな?」スノーケルマスクとライフジャケット、フィンを着けるのを手伝う。スノーケルの使い方を簡単にレクチャーして沖へと向かう。
 水中は色とりどりの野菜サンゴや枝サンゴ、テーブルサンゴが花が咲いているように鮮やかだ。サンゴの隙間にあるイソギンチャクにはクマノミ達が沢山いる。数種類居るが、それぞれ縄張りがあるようで、棲み分けられている。
 枝サンゴの上には水色のデバスズメダイがカーテンのように群れて、その下にはパンダのようなミスジリュウキュウスズメダイやミナミスズメダイが群れている。
 沙莉は防水ケースに入れたスマホで夢中で撮影している。
 少し沖に出ると何mあるかわからないが、深いドロップオフになっていて、数尾の大きな魚が見えた。沙莉が手を引っ張って、下を指差している。体長1.5mはあろうか、巨大なグリーン色のナポレオンフィッシュが大きなオデコを自慢するかのように優雅に泳いでいく。
 その下のほうに2m位の鮫が見えた。襲ってくることは無いだろうが、沙莉は怖いみたいで岸を指差している。

 ビーチへと戻った。「鮫いたぁ〜!怖いよ〜!」「あれは、襲って来ないよ!ネムリブカっぽいし。」「襲って来たらどうするんですか?」「水中で屁こくと逃げるらしいよ!」「それ絶対ちがーう!アハハハ。」

 ドロップオフは沙莉が怖がるので、浅場のサンゴの多い場所を中心に暫く遊んでビーチを後にした。

「漁港の食堂でサメバーガー食べれるらしいよ。」「美味しいんですか?」「昔、サメ食べたことあるけど、やっぱ臭いはキツいな。でも、フライなら大丈夫じゃない?」
 漁港に寄って食堂でサメバーガーを一つ頼んだ。岸壁に座って、コーラを片手に一つを半分こする。「結構イケますよぉ。思ったより食べやすいし。鶏っぽいかな。」「どれどれ?それなりには美味しいかもな。」


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