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妻を他人に
【熟女/人妻 官能小説】

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最後の夜-3

「そうじゃない。そうじゃないよ、ゆき……。こんな取り乱しながら言われたら俺怒れない。ゆきが怒ってたら俺怒れない。怒りながら謝るなんてずるいじゃないか。離婚してって泣いて開き直りながら謝るのもずるい。言いたいこと言って怒りながら謝って嫌われて『じゃあさようなら』なんてずいぶん簡単だよな。ゆきはそりゃすっきりするよ。自分から全部吐き出して、離婚すれば全部リセット。奥さんに裏切られた俺は置いてけぼり。ずるいじゃないか、そんなの。そもそももし本当にゆきが全部悪いなら離婚するかどうか決めるのは俺だろ、勝手なこと言うな!」

 はっとした表情を見せるゆき。

「ゆき……。本当に悪いと思ってるんだったら落ち着いてほしい。落ち着いて俺にちゃんと謝ってほしいし、ちゃんと怒られてほしい」

 妻は呆然とし、うつむき、ぽつりとつぶやく。

「最後の最後までひどい女だね、私……」

  *

 ゆきが子どものように泣きじゃくっている。
 今日の彼女はもう一生分泣いている。
 妻が可哀想だ。支えになりたい。

 私はゆきを抱きしめ、背中をさすってやった。胸に妻の温かい吐息がかかる。パジャマの前の部分は妻の涙であっという間にびしょ濡れになった。
 妻が静かに、言葉を絞り出す。

「全部知られたら楽になれると思ってた。ぜったい嫌われるし離婚しかないって思ってたから、どうせそうなるなら早くと思ってパパの気持ち考えずに、悪いこと全部言っちゃえばそれで終わると思ったから、全部言って早く終わりにしようってそれしか考えてなかった。それにまだパパに言ってないことがある。早く言わなくちゃって思ってた。言わなくちゃいけないのは本当だけど……でもパパの気持ちを考えてなかった……」
「俺全部知ってるんだ。だからゆきがここ最近どんなに辛かったかも知ってる。だから取り乱しちゃうのも無理ないよ。自分を責めないで」
「…………」
「いろいろなことがありすぎた。ゆきは俺を裏切ったかもしれないけど、今はなにより被害者だよ……!」
 嗚咽が漏れる。夫婦二人して泣いている。
「……ごめん、ごめん……ゆき……」
「なんで謝るの? パパ悪くないよ。パパが支えるって言ってくれて抱きしめてくれてゆき嬉しかった。パパとの最後の夜まで、ゆき幸せだったなって。それなのに酷いこといっぱい言っちゃった。嫌われないといけないと思ってた。いや、それは今でも思ってるけど……」
「ゆきが何したって嫌いになんかなれないよ」
「今日はパパの知らないこともぜんぶ言うつもりです。ゆきのせいでパパを怒れなくさせちゃったけど、もう反省した。いっぱい怒って嫌いになってください」
「…………」
「いいよ。怒って。ゆき全部包み隠さず言うから」
「今はやめよう。ちゃんと落ち着いてから」
「ううん。今がいい。パパが優しさで一生支えるって言ってくれたのわかってる。パパこそ冷静じゃないよ。落ち着いて話せば気持ちが変わると思う。変わっていいよ。それだけのことしてきたから。あ、ゆきが決めることじゃないけど」

 ゆきが自嘲気味に笑う。夫も笑った。

「さっきまで取り乱してたくせに、急にずいぶん落ち着いたじゃん」
「パパに勝手なこと言うなって怒られて落ち着くことができました。怒ってくれてありがとう。私もうまな板の上の鯉だから」
「そんな悟られちゃったら怒りがいがないんだけど」
「大丈夫。すぐ怒りがわいてくると思うから」

  *

 それからゆきは、これまでに犯した数々の裏切り行為を私に語ってくれた。

 Fとのこと。Xのこと。彼らにアナルヴァージンを捧げてしまったこと。
 その後、ZやYともアナルセックスをしたこと。
 週刊誌の件があり公認不倫を中止するまで、彼らとは何度も肛門性交を愉しんでいたこと。
 昨年の一時期「Zとはもう会わない」と夫婦で決めたあとも、何度も秘密のデートをしていたこと。Z宅で不倫現場を見つかってしまったとき、そのデートについて「二回」と嘘をついてしまったこと。本当は十回以上していたこと。その頃からZにアナル開発をしてもらっていたこと、しかしアナルセックスは私のために取っておいてくれたこと、でもFなら絶対バレずにできそうだと考え、彼としてしまったこと。

「ま、もちろん全部知ってたことだけどな。あ、ボイレコ仕込んだのを自慢しちゃいかんな」
「どうして怒らなかったの」
「そういう性癖だからとしか説明しようがないよ。ショックだったけど、心のどこかでは裏切りを期待してた」
「やっぱり変態だね」
「実はさっきの素人掲示板も三年前には知ってた。それで寝取られマゾになったというか自覚したというか」
「え、そうなんだ」
「俺があの掲示板のことすぐゆきに報告しておけば、ゆきはFさんのしわざだって気づいたと思うし消させることもできたはず。だからこの件は俺のせいでもあると思ってる」
「パパのせいじゃないよ。奥さんの過去のあんなの見せつけられてパパは被害者だよ。ゆきに言えないのなんて当たり前だよ」
「でも俺と付き合う前のゆきのエッチな画像見て楽しんでたのは事実だから」
「ショックだったでしょう?」
「めちゃくちゃショックだったよ。ゆきずっとエッチはそんなに好きじゃないって俺には言ってたのに……。恋人時代も結婚してからも俺は淡白なセックスばかりで。きっと俺はずーっとゆきに気を使わせてたんだなって。心の中ではどう思われてたんだろうって。自分のセックスが恥ずかしくて消え去りたくなった」
「パパとのエッチが大好きなのは本当だよ。消え去らなくていいよ」
「初めて見つけたときは何度も吐いちゃって、でも気づいたら何度もオナニーしてた」
「なんか想像つく」


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