中村加奈子/夢と現の間で-5
「はぁ、パンティと、加奈子のここ、擦れるのやばいっ。頭おかしくなるっ」
「ん、んぅ……っ」
加奈子は口元を右手で押さえて、声が漏れないように耐えている。
体を右側によじり、左手では理央の胸元の布を掴みながら、がくがくと体を震わせている。
熱いペニスがぬるぬるとしたそこに絡みつく度に、加奈子の子宮がチリチリと焼け付く。
この歳になって、理性を削られ、朝からこんなことをーー
真面目な加奈子はこの状況を恥ずかしいと思いつつ、でも、理央が求めてくれるのが嬉しかった。
「ん、ぅ、こんなにされたら、仕事できな…くな、っちゃ……っ。困る……っ、あぁ、いく……っ」
がくん、と体を仰け反らせて絶頂を迎える。
理央は汗だくになった顔を加奈子に向けて、右を向く加奈子の髪の毛を指で払い、左耳にキスを落とす。
「あ、…ぁっ」
耳に与えられる刺激すら、強烈だ。
「加奈子のせいでしょ。僕が誘ったんじゃないもん」
耳元で囁かれ、ぞくぞくと背筋に寒気が走る。犯されてしまいたい。このままーー
「は、ぁ……ん、ん、あたしも、我慢……できな……」
加奈子が言いかけた時、バタバタと階段を駆け下りる音がする。
柚木が起きてきたのだった。
加奈子は急いで理央から体を離して、衣服を整える。
「布団の上に脱ぎっぱなしの下着、洗濯機の中入れとくからっ。新しい下着使っちゃって」
加奈子は布団の上の理央の下着を、柚木に見られないように、パタパタと脱衣所を出ていく。
「ぅ、う……。マジ、どーすんの、これぇえええ」
加奈子の体液でテラテラと光る、理央のペニス。
血管が浮き出て、びくっびくっと跳ね返りそうな程に動いている。
「とりあえず、シャワー浴びよ。加奈子にぎゅーされた感触残ってるままなの、無理……」
勃起したまま、彼はバスルームに入り込んだのだった。
*
「洗濯機を回すのは夜にやる、本当にごめん」と謝って、食事もせぬまま、理央は先に出勤した。
加奈子は苦笑いし、柚木はきょとんとしていた。
早々とオフィスに到着し、給湯室でスティックタイプのコーヒーをマグカップに入れると、サーバーからお湯を注ぐ。
給湯室には長机と、その横にひとつ丸椅子が置いてある。
壁に背中をつけるようにして、丸椅子に座ると、熱すぎるコーヒーを飲んだ。
いつも、家でなら牛乳を入れたコーヒーなのだけど。
理央はふわふわとした髪の毛をぐしゃぐしゃと手で掻く。
家の中で苛立つのを避けて、洗濯物を洗わず、飛び出てしまった。
「バカなの……? 僕……」
加奈子なら、もし何かに苛立っていても、家でやらねばならないこと優先だろう。
それが子を持つ大人と、そうでない大人の違いなのだと気付かされる。
(しかも、射精できなかったからとか……馬鹿すぎる)