両親の営み-10
物音が静まり、殆ど何も聞こえなくなった。ほぼ壁に耳をつけたまま固まっている健斗は、あまりにも生々しい男女の営みに衝撃を受け動けなかった。少し離れた場所で日菜もまた顔を真っ赤にして、そんな健斗の様子を伺っていた。
「す、スゲェ…」
今まで空想の世界であったセックスが、壁一つ向こうで行われていたのだ、壁の向こうでペニスがマンコの中に入っていた。頭の中は両親が裸でベッドの上で燃え上がっていた妄想の残像が残っていた。
「お父さんとお母さんが…」
普段そんな様子は全く見せていない。それどころか仲の良さは感じるものの、キスしているトコすら見た事がない。しかし自分の知らない所で夫婦の営みを行っていた事がどこかショックを受けたりもしていた。
日菜もその営みに気付いた時はやはりショックであった。だがついつい気になり、ほぼ毎日行われる営みの音を壁に耳をつけて聞くようになってた。健斗もショックを感じながらもまた聞きたい…、そんな風に思っていた。
「あ…」
壁に耳をつけている姿を日菜が見つめている事に気付き、恥ずかしくなり慌てて壁から離れた。
「すごいよね、大人って。私達にとって敷居の高いセックスを、普通に毎日できるんだもん…。早く大人になりたいな…」
ふとそう呟くように言った日菜。
「姉貴…、セックスしたいの?」
健斗に突っ込まれて我に返る。
「えっ…?あ、ち、違うの…、そう言う意味じゃなくて…」
弁明する日菜だが、言い訳が思いつかない。
「…したいのかなぁ…、私…」
体を小さくして恥じらうように言った。
「俺は…、セックスがしてみたい。」
はっきりと言った健斗。
「えっ…?」
あまりに堂々と答えた健斗に日菜は驚く。
「ヤッてみたい…」
今の健斗にとって、その相手は日菜しかいない。そう言って自分を見つめられると、自分に求められているような気がする。
(健斗の期待に答えてあげなきゃ…。私も心を決めなきゃ…)
いつかは健斗に処女を捧げると言う気持ちは持っている。だがその日がもう近い事を感じると、不意に不安に体を包まれるような気がした。ロストバージン…、やはり女にとって非常に大事なものなんだと痛感した。
「今度の日曜日、しよっか…」
日菜がそう言うと、健斗は体中の血が沸き立つような興奮を覚えた。
「うん!」
健斗はおませな少年らしい笑みの中にも目がマジな表情で喜んだ。
(健斗とセックス…)
きっと後悔はしないであろうが、だが何故か急に怖さを感じ始めた日菜であった。