山田屋敷〜第二夜〜-8
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ーーーここから先は、この日源二郎が目覚めた時と同じ場面が繰り返されることになる。
度重なる交歓に疲れ切って眠ってしまい障子の向うで夜の帳が降りようとしている頃、源二郎はおもむろに目を覚ます。
食事を終えた膳の後始末とともに姿なきお江を追う形で湯殿に向かい、
そこで待ち受けていたお江と言葉を殆ど交わすことなく肌を合わせ、湯船の中で躰を絡ませ合い唇を重ねる。
そして寝間に戻るや、お江の用意した夕餉の膳を片付けるのもそこそこに互いを求め合うのだった。
「日がな一日、女人と共に過ごすなど・・・・・」
「・・・・・・はい?」
「おなごに執心される父上のお気持ちが、ようやく分かってきた心持ちだ・・・・・・」
「クス・・・・・・」
「・・・・・・・可笑しいか?」
「いえ・・・・・ですが」
「ですが・・・・・何だ?」
「源二郎様がひとかどの武将になられるには、必要なことにございます・・・・」
「確かにな・・・・・だが他の女人では、こうはいくまいな・・・・・」
源二郎がやや躰をずらして腰を動かすと、
眼前にあるお江の唇が開き、甘やかな溜息が漏れ出る。
背中に食い込む五指の爪の痛みが彼女の昂りを言葉なくとも源二郎に教えてくれた。
「お江・・・・・」
お江の肌の滑らかさと汗と体臭を五感で感じながら、源二郎は彼女と一体化することの心地良さに身を委ねていったーーーー
ーーーつづくーーーー
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