山田屋敷〜第二夜〜-4
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――――――昨夜に続く形での”交歓“を終えた後、寄り添うようにして肩に頭を預けてくるお江と湯船の中でひとときを過ごしていた時腹の内から低い唸り声が響いた。
今の今までまともな食事も取っていなかったこともあり、ここにきて漸く源二郎も睡眠と空腹を自覚するに至る。
傍らのお江に聞かれてしまったことが少々気恥ずかしかったものの、
ちらりと向けた視線の中でお江は既に心得ているような表情で源二郎に微笑みかける。
「ここに来てから、まともなものを口にしておりませんでしたからなぁ・・・・」
「確かに・・・・そなたのお陰で腹が減った」
「まあ、仰ること・・・・でもご案じなさいますな。少し刻限は過ぎましたが、朝餉といたしますか」
「ここでか・・・・?」
「あい・・・・源二郎様はお部屋でお待ち下さいませ。後刻膳をお持ちいたしましょう」
「・・・・そなたが料理するのか?」
「先ずはお任せあれ・・・・その際ご一緒させていただいても構いませぬか?」
「無論だ、何の遠慮もいらぬこと・・・・草の者と膳を囲むというのも初めてのことになろうな」
「そういうことに、なりましょうな・・・」
周りを気にするように囁きあい、肌を寄せ合う2人の姿は、遠目にはまさしく恋人か夫婦のそれであった。
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