恥辱の会食 / 番外編:W氏の「港区女子」リスト 【イラストあり】-1
都内の繁華街の一角に位置するその高級料亭は、風格に溢れた外観から一歩足を踏み入れると、都会の喧騒が嘘のような静けさに包まれている。アプローチには手入れの行き届いた庭が広がり、趣ある石畳が上質な歓待を演出していた。重厚な木の扉が開き、訪れる者を静かに迎え入れる。玄関には美しい生け花が飾られ、厳かな空気が流れている。
屋内も格調高い。繊細な彫り物が施された欄干、柔らかな風合いを釀す襖の間仕切り、い草の香りが心地よい緑の畳。床の間には一本松の盆栽と見事な掛け軸が飾られている。室内すべてのあしらいが、数多の重要な会食が行われてきたこの場所にふさわしい、歴史と心遣いを感じさせるものであった。
この格式高い空間に、突如として、異様な音が響き渡った。
ブリブリ、ブリ……プリ……ブホッ、ゴプッ、ブブ、ブチュチュゥ……ブホッ……ブチュッブリュリュッ……。
静謐な空気を切り裂く異音は、この厳かな場所には似つかわしくない不適切な響きに満ちていた。あまりに場違いすぎて、それが放屁音だとはすぐには思い至らぬほどである。
ブリュ……プリリ……。
《い、ぃやぁあああ……!》
甲高い悲鳴が上がり、放屁音の主が若い女性であることがわかる。
ブブブ……ブリ、プリブリュ……、プス……プスス……。
《見ないで……お願い、聞かないでぇ……》
プスゥゥゥゥ……。
プリリ……リ……。
プチュ……。
プリ……。
やがて室内は、またもとの静寂に包まれた。
*
三名の男女が、部屋の中央に設えられた重厚なテーブルを囲んでいる。
彼らは皆、きらびやかな料理の数々を前にし、ただ押し黙っている。テーブルの片側には美しい女性が、慎ましく両膝を揃え正座している。ダークスーツに白いブラウスという清楚な出で立ちの彼女は頭を垂れ、肩を震わせている。
黒のストッキングをわずかに覗かせるスカートの裾を両手でぎゅうと握りしめ、すらりと細い手の甲には涙がぽたぽたとこぼれ落ちる。
「Vさん、お願いです。もうそのくらいにしてやっていただけませんか……」
女性の隣に座る仕立ての良いスーツに身を包んだ男も同じように正座し、下を向きうなだれている。恰幅の良い体格であるが、今は背を丸め小さく見える。
「なんだW。お前は私とこのゆきとかいう女のどちらの味方なんだ?」
二人の対面であぐらをかいて座る男が口を開いた。手には大型のタブレットを持ち、正面に座る二人に見せつけるようにしてテーブルに置いている。
「もちろんVさんのことは従前より変わらずお慕い申し上げております。しかし……」
「しかし、なんだ?」
「もう彼女のしでかしたことは十分に理解いたしましたので……」
「信じられんな。この女は最初、これは自分ではないと言い張っておったぞ」
Vがタブレットを操作し別のシーンを映し出すと、女性の喘ぎ声が部屋にこだました。
画面では、全裸の美しい女が男の上に跨り腰を振っている。よく見ればその女は、今ここでうつむき涙を流している、ゆきと呼ばれた女であった。
《旦那のチンポ気持ちよくないの》
《ちっちゃいしすぐ終わっちゃうし○○のこと全然気持ちよくしてくれない》
《○くんの生チンポ大好き!》
《旦那のより○くんの生チンポのほうが気持ちいいの!》
「申し訳ございませんでした。彼女も気が動転し、間違ったことを口走ってしまったのでございます」
「なぜWがかばうようなことを言う。やはり女の味方か?」
「とんでもございません。彼女にはVさんに嘘をついたこと、あとできつく指導させていただきます」
《腟内(なか)に出して! ○○のおまんこの中に○くんの精子いっぱい出して!》
挿入されたままドクンドクンと脈打つ射精を受け止める女性。
「おいゆき、これは本当に中出しされているのか?」
「……………………」
押し黙ったままのゆきに業を煮やしたVが、テーブルをどんと叩く。びくんと怯えた様子のゆきに、Wが「Oさん、お答えして差し上げて」と励ますような口調でささやいた。ゆきは唇を震わせ、言葉を絞り出す。
「………………いえ、されておりません」
今にも消え入りそうな、小さくか細い声である。
「本当か? ゴムをつけるところも外すところも映ってないじゃないか」
「それは…………映像ではカットしているのかもしれません。私はFさんにその……腟内(なか)に出されてしまったことは一度もありません」
「おまんこの中に出してと懇願してるのはなんだ」
「…………あの………………私とFさんとの間では、行為中にこのような発言をするということがたびたびございました」
「なぜだ」
「……………………楽しかった……からでございます」
「興奮していやらしい気持ちになったということか」
「はい……」
「ならはじめからそう言え! 楽しかったなどとごまかすな!」
「も、申し訳ございません……!」
「で、どうだったのだ?」
「こ……興奮し……いやらしい気持ちになっておりました」
「ゆき。お前はまた嘘をついたな」
「い、いえ……そのようなことは……」
「お前は今、中に出されたことは一度もないと言ったがそれは嘘だ」
「いえ……本当でございます」
「じゃあこれはなんだ!」
Vは再び画面を操作し、別のシーンへ切り替える。
《○くん、イきそう……!》
《○○、おれも!》
《イく、○○イっちゃうの……!》
《おれもイッていい?》
《いいよ、来て!》
《このまま出すぞ、○○の中にぶちまけるぞ》
《あぁん! そ、そんなこと言われたら興奮しちゃうよ……》
《旦那以外に中出しされたことある?》
《ないよ、旦那だっておまんこだけだもん。お尻の穴に出されたことなんてない》