(最終話)昔の男との邂逅C-9
「いっぱい、して」
ふわふわの髪の毛が撫でられ、細い指先が髪の毛から、首の裏側へと移る。
その指先で撫でられると、理央の腰にぞわぞわとした寒気が走る。
理央は左肩を敷布団につけて横向きになると、加奈子の腰を右手で引き寄せた。
密着した肌から、とくん、とくん、と加奈子の心臓の音が伝わる。
右手でパジャマの裾を少し捲り上げて、さらさらの背中に手を這わせた。
親指以外の四本の指で、肩甲骨の辺りから腰に向かってさわさわと、優しく動かす。
「んッ……」
ぴくん、と小さく加奈子の体が震えた。
理央の愛撫に応えつつ、加奈子は理央の腰の辺りに左手で触れると、服の中まで入り込む。
熱い胸元に手が触れた。
「木綿子ちゃんがいたから、できなかったもんね……。あたしも、したかったよ」
「むぅ、ホントだよ……遠月さんは……加奈子のこと……」
あの時ーーその後も、理央はそのことについて触れはしなかった。だが、やはり起きていたのだ。
加奈子は指先を理央の唇に当てる。
「ーーそれ以上は、言ったらダメ」
「あ……ごめ、ん」
理央は、加奈子の背中を引き寄せて謝る。
加奈子は、はっきり嫌だと言っていた。
理央はそれを思い出す。
きっと加奈子にとって、会社で隼人になされた行為と変わらないのだろう。
「ーーあたしの「セカンドバージン」奪ったのも、これからも理央だけ」
見つめられて、そんなことを言われたらーー
もう、ダメだった。
理央は加奈子を組み敷くと、ポケットの中からローターを取り出して、布越しに、胸元に押し当てる。
ブンッとモーター音が鳴り出した。
「ひ……っう、理央、んん、用意周到なん、だから……っ」
「見たい、エロいとこ。今日ダメ、マジで」
加奈子の右手首を掴んで、加奈子が体をくねらせて、髪が枕に垂れたところで右耳に舌を這わす。
右耳を舐めまわしながら、乳頭に優しく押し当てて、円を描く。
「痛い……?」
「痛くないけど、恥ずかしい……っ」
「加奈子、エロい。びくびくしてる」
「だ、……って、機械……なんて……っ、ずるい……」
じゅるっ、じゅる、としゃぶる、理央の舌の音が響く。
「会社でスーツ越しにローター当ててぇ……」
「ば、バカ……っ。何考えてる……のっ」
興奮しすぎて、うわ言のようにめちゃくちゃなことを言う。
理央の体にしがみついて、快感に耐えている加奈子の唇を奪う。
分厚い舌で、加奈子の口腔内をめちゃくちゃに貪りながら、パジャマのボタンを左手で乱暴に外す。
露出した加奈子の胸の頂きを左手の指を使ってつまみ、もう反対の手では直接乳房にローターを宛てがう。
「あっ……ん……っ」
キスされながらの強烈な刺激に、加奈子が甲高く声を上げて、体を仰け反らせた。
「ちゅ……んっ、興……奮し、すぎ…………っ、落ち着……っ」
「無理でしょ」